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看護師セミナー16 循環器

こんにちは。看護師の坂本です。
今回は循環器です。
循環器は心臓をはじめとして、身体を保ち、生きるために重要な部分です。
構造や機能など難しいところも多いですが、まとめました。

以下内容
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循環器

循環器とは心臓、血管、血液循環、リンパ管、循環の調節のこと。
それぞれ生きていくうえで必ず必要なもの。人の循環器系の本でも学べる。
循環器疾患を疑う診察検査時には、できる限り心臓や呼吸に負担のかからないように注意し、特に神経質だったり興奮している動物は突然チアノーゼや発咳を起こすことがあるのでよく様子を見ながら診察検査を進める。重症の心疾患をもつ動物は、体位変換だけでも大きな負担になり、ストレスによって死亡することもある。
ショックを引き起こしていたり、引き起こす可能性があるので注意が必要。
循環器疾患の動物は、呼吸器系や泌尿器系疾患などを併発していることがあるので、他疾患がないか十分な観察も重要。循環血液量の関係で、心疾患のある子は腎臓に疾患を抱える可能性が高くなるので定期的な観察も必要。
正しい心音や心電図波形を理解し、看護師も異常を早期に発見できるようにしておく。
心電図波形のブロックと呼ばれるものの中には出た際に緊急的な対処がすぐ必要なものもあるので、しっかりと波形を読めるようにする。
自宅での環境管理や運動、食事管理など注意する点をまとめきちんとした管理の指導をできるように知識をつける。病院外でも、突然緊急的な症状が出る場合があることをきちんと伝えておく。

構造と機能 

心臓
心臓の内部は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれており、血液の逆流を防ぐ三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁という4つの弁をもつ。
全身の各組織で酸素を消費し、産生された二酸化炭素を多く含んだ血液を右心房で受け取り右心室のポンプ機能によって肺血管へ送る。肺で酸素化された血液は肺静脈を通って左心房で受け取られ左心室のポンプ機能によって全身へ送られる。このことからも他の臓器が動くために必須の重要な臓器であることがわかる。
個々の心筋は自動能を持ち、それらが心臓全体として統率された収縮運動を行うための仕組みを刺激伝道系という。右心房の洞結節から、一定のリズムで活動電位が送られ、房室結節、ヒス束、右脚・左脚、プルキンエ線維を経て心室筋に伝わり、心室が収縮している。この規則正しいリズムを洞調律といい、心電図の基本的な波形を示しているもの。
正常な心拍数は、犬で60~180回、猫で120~240回/分
心臓の壁は、内側から心内膜、心筋層、心外膜の3層から形成される。心内膜は血管の内膜から連続した膜で心臓の内面を覆い、弁はこの心内膜がヒダ状になり心臓内腔に飛び出したもの。心外膜は心底部で外側に折り返して心膜がある。心外膜と心膜の間に心嚢水があり、心臓がスムーズに動くことができるようにする役割がある。
心臓自体に血液を供給する動脈を冠動脈という。大動脈から右冠動脈と左冠動脈の2本の冠動脈がでている。

血管
血管壁のまわりに平滑筋と弾性線維が取り巻いている血管を弾性血管と言い、心臓に近い太い動脈はこの血管によってつくられている。
弾性線維はなく平滑筋のみが取り巻いている血管を抵抗血管と言う。平滑筋の収縮の度合いにより血管の内径が変化し、これにより血圧も変化する。細動脈血管で見られる。
内皮細胞が一層の非常に薄い血管壁を持つものを交換血管と言い、血管と組織の物質の交換を容易に行う事が出来る。毛細血管にある。
平滑筋が動脈ほど発達していなく、血管の太さが血液量で容易に変化するものを容量血管と言い、静脈をつくる血管。四肢の静脈には血液が逆流しないように静脈弁がある。

血液循環
血液の主な流れは
全身→右心房→右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房→左心室→大動脈→全身 となる。この順で各組織に血液や酸素交換、栄養などを運ぶ。
この他にもさまざまな循環が行われている。
肺循環は右心室→肺動脈(静脈血)→肺(ガス交換)→肺静脈(動脈血)→左心房
体循環は左心室→大動脈→動脈→細動脈→毛細血管(ガス交換)→細静脈→静脈→大静脈→右心房
冠状循環は心臓自体への血液の供給。2本の冠状動脈を通して行われる。
脳循環は内頸動脈と椎骨動脈を介して脳へ血液を送る。安定してグルコースと酸素を供給するために血液量を一定に保つ自己調節機構がよく働く。
門脈系循環は心臓から直接肝動脈により運ばれる血液と消化器官を通ってから門脈によって運ばれる血液がある。肝動脈血と門脈血は肝臓内で合流し後大動脈を通り、心臓に戻る。
腎循環は体循環の約1/4が腎臓に運ばれ、ろ過と再吸収により老廃物が排出され、きれいな血液が心臓に戻る。
骨格筋循環は運動時には交感神経の働きで血管が拡張され多くの血液が運ばれる。それに対して、安静時の血液量はわずか。
皮膚循環は体温が高い時に皮下静脈の血液量を増やすことで体熱を放散させ、体温が下がると血液量を減らし体熱の放散を防ぐ。

 リンパ系
毛細血管から組織間隙ににじみ出ていく液体成分のうち、静脈から吸収されなかったものがリンパ管を通して運ばれ、このリンパ管を流れる液体をリンパ液と呼ぶ。
リンパ系の役割としては、毛細血管からにじみ出た液体を血管に戻す。細菌や異物の侵入を防ぐ。生体の防御システムとして大きな役割を果たすリンパ球を産生する。消化された脂質や脂溶性ビタミンを運ぶ。等がある。

 循環の調節
血圧を決定する因子は、心拍出量と血管抵抗。
アドレナリンやノルアドレナリンは神経伝達物質として作用し、または血中に分泌され、体液性調節において血液調節に関わる。
神経性調節とは自律神経系による調節のこと。交感神経が優位になると血圧を上昇させ、心拍数も上げる。副交感神経が優位になると血圧を低下させ、心拍数も下がる。
体液性調節とは循環血液量の減少が起こると、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系が活性化され血管収縮や血液量の増加が起こり、血圧が上昇すること。また尿量を減少させ、体液量を増やし血圧上昇にはたらくホルモンも関与する。

循環器疾患の看護ポイント
問診により症状のでるタイミングがあるのか、その時の様子や症状について詳しく聞き取り緊急的な処置治療が必要な状況なのか判断する。
特定の品種や性別で好発疾患の参考になったり、また虚弱な若齢動物は先天性疾患の可能性も考慮する。
現在の症状や検査データから、疾患の重症度を把握、また現在の生活環境や習慣を聞き憎悪につながる習慣がないかを調べる。
治療中の場合はその後の症状の変化、投薬状況、水分の摂取状況、食事を把握し、心臓の予備能力を維持する生活ができているのかを確認する。
疾患によりまたは治療により生活行動に影響を及ぼしていたり、看護する際の不安がないかどうか飼い主さんの心のケアも同時に行う。
循環器系疾患の子には、一般的に低ナトリウム食を基本とした食事を与えるが、症状の程度や他の病気の併発、好みなどを考慮し選択する。また極度の肥満の子には肥満解消のプログラムを開始する必要があるかの検討をする。
入院中等に輸液を行う事もあるので、輸液中は常に観察し、輸液速度、排尿量、呼吸、心拍数、浮腫などをおこさないかを含め厳重な注意が必要。心疾患には急速な輸液は原則禁忌である事を覚えておく。
体位は基本、水平仰臥位よりは座位や立位の方が心臓の負担を軽減できる。様々な場面でその子にとってどのような体位が一番安楽なのか考え取れるようにしてあげる。自分で楽な体位が取れない時には、タオル等で補佐してあげることもある。
酸素の吸入が緊急的に行えるようにスタッフ全員がスムーズに動けるようにする。
心臓に負担がかからないようにと必要以上の援助や制限をすると、運動不足の筋力低下や心臓の予備能力低下をさせ過ぎてしまう事があるので適度に行う。
寒暖の差をなるべくないように特に急激な寒暖差を行わないよう注意する。
多くの心臓病の治療は心臓能の低下を薬によって助けることから、家族に投薬の大切さの説明と指導、確認が必要になる。このため、動物看護師自身が薬の作用や必要性を理解しておくことが大切になる。また、原因によっては完治が期待できない、完治しない場合や治療が年単位に長期間及ぶことがある。十分な説明を行い、治療、看護方針について相談しながら今後について全員で考えていく。

先天性循環器系疾患

 動脈管開存
出生に伴い閉鎖するはずの肺動脈と大動脈を連絡する動脈管がそのまま遺残し障害を引き起こす。左心の血液量が増大し、左心室が拡張して左心不全や全身の循環不全を引き起こす。プードル,シェパード,ボーダーコリー,アイリッシュセター,キャバリア,シェルティー,ポメラニアンなどの犬種で遺伝的要因が認められている。猫は比較的少ない。
治療は外科的処置。症状に応じて内科療法。

 大動脈弁狭窄
大動脈弁の形態的異常や周囲組織の異常のために、大動脈弁部の血流が阻害され様々な障害を引き起こす。特に左心室に負担がかかることが多く、左心室肥大や全身循環障害、心機能の低下がみられる。ゴールデン,ニューファンドランドなどに好発するといわれている。
治療は軽度~中程度の狭窄の場合は、治療しなくても長期生存する可能性がある。
中~重度の狭窄では、3歳齢までに死亡する可能性が高い。
症状に応じた内科療法を行う。

 肺動脈弁狭窄
肺動脈弁の形態的異常や周囲組織の異常のために、肺動脈弁部の血流が阻害され様々障害を引き起こす。特に右心室に負担がかかることが多く、右心室肥大など右心不全がみられる。最終的には大循環にうっ血を生じ、腹水や浮腫などがみられるようになる。ほかの先天性循環器系疾患を伴うことが多い。シュナウザー,チワワ,サモエド,コッカーなどに好発するといわれている。
治療は症状が軽度の場合や、高齢で手術が困難と判断される場合は、不整脈の現れ方をみながら、内科療法。心臓への負担が重い場合や狭窄が重度の場合は外科的処置。

心室中隔欠損
胎児期の発達異常により、右心室と左心室を隔てる心室中隔に欠損が生じ、孔としてそのまま遺残することで様々な障害を引き起こす。特に左心系の血流量が増大し、左心室が拡張して、左心不全や全身の循環不全を引き起こす。犬よりも猫の報告が多い。
治療は、欠損が小さい場合は無治療の事もある。症状に応じた内科療法。外科処置を試みる事もある。

 ファロー四徴
肺動脈狭窄、心室中隔欠損、右心室肥大、大動脈騎乗を伴った場合をファロー四徴と言う。血液の流れが複雑で、動脈血と静脈血が混合するためチアノーゼや呼吸困難を呈するなどの障害を引き起こす

後天性循環器系疾患

僧帽弁閉鎖不全症
左心室の入口にある僧帽弁が何らかの理由で正しく閉じなくなるため、左心室から左心房へ血液が逆流し、心不全が引き起こされる。
犬の心疾患の80%で高齢の小型犬に多く発症。特にキャバリア,マルチーズは発症率が高く、それぞれ3~4歳、7~8歳から発症するケースが多い。
症状としては咳。最初は夜中から明け方や、興奮時に乾いた咳をするようになり、症状が進行すると咳が止まらなくなったり、呼吸困難を起こす場合もある。また、発作を起こし倒れたりすることがある。
治療は内科療法が基本。血管拡張剤、強心剤、利尿剤、抗不整脈剤などを投与し心臓の負担を減らし、症状の改善に努める。
外科処置を考慮する場合もある。
運動量調整や興奮させないようにする、塩分制限など心臓の負担を減らすための生活指導も治療のうち。

 拡張型心筋症
何らかの原因により、心臓壁を形成する筋肉が薄くなるために血液の拍出力が低下し、うっ血性心不全をはじめ様々な循環不全の症状を引き起こす。
犬では超大型犬やドーベルマン,ピンシャー,コッカ―などで遺伝による拡張型心筋症が確認されている。猫ではタウリン欠乏によって発生する。
症状としてははっきりしない場合もあるが、不整脈、頻脈、嘔吐、咳、食欲不振、運動不耐性、虚脱、失神などがみられることがある。呼吸困難がある場合、胸水や心膜液が貯留していることがある。血栓が形成され血管閉塞する事もあるので注意が必要
治療は症状に応じた内科療法。予後は不良で短命のことが多い。

 肥大型心筋症
左心室壁を形成している筋肉が急激に肥厚するため、左心腔が狭窄して必要な血液量を全身に拍出することが出来なくなる。猫ではメインクーン,ペルシャ,アメショで遺伝によるものが確認されている。
症状としては呼吸困難、運動不耐性。左心房が拡張するとともに、血液が停滞する結果、肺水腫を引き起こす事もある。時に突然死をも引き起こす。血栓が形成され塞栓症をおこすこともあり、その場合後肢の痛み、麻痺、冷却が認められる。
治療は症状に応じた内科療法。予後は不良で短命のことが多い。

 犬糸状虫症
蚊を中間宿主とする犬糸状虫が心臓に寄生することで、運動不耐性、咳などが認められ、重度になると腹水や失神、喀血などを起こす。また死亡した犬糸状虫が肺や血管に塞栓することがある。予防薬での予防が可能で重要。猫やフェレットにも感染する。
治療は外科処置、駆虫薬の投与、その他状況に応じて内科療法。
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いかがでしたでしょうか。

難しいところも多かったと思います。
先天性もありますが、後天性の循環器疾患は基本的には継続治療が必要なものになります。
しっかり理解して治療を行う事が疾患と付き合う上で必要になると思います。
様々な疾患がありますが、もっと循環器について学んでいかなければいけないと思いました。

看護師 坂本恵