• ホーム
  • 病院のご案内
  • 診療時間・アクセス
  • 臨時休診日・診察時間変更などのお知らせ
  • 病院だより
  • コラム診察室
  • 病院の症例
  • 看護師通信
  • スタッフ紹介
  • リンク

椎間板ヘルニア

背骨の中には、脳からの指令を手足に伝えたり、手足の感覚を脳へ伝えるために
働いている脊髄神経があります。この脊髄神経は、とても重要な神経のため下記
のような構成によって厳重に守られています。

背骨:筒状の骨格で脊髄神経を納めてます。外からの衝撃から直接神経を守ります。
 椎間板:背骨と背骨の間に存在します。背骨にかかった衝撃を吸収する役割をします。
 筋肉:背骨と背骨を柔軟かつしっかりと連結させ、構造を保ちます。

椎間板ヘルニアとは、遺伝的要因または加齢による影響で、椎間板の変形や突出
が生じ、脊髄神経を圧迫することで発症します。脊髄神経に対する、圧迫の強さに
よって様々な程度の神経障害を起こします。重度で無治療の場合、多くが永続的に
歩行困難な状態となってしまいます。

好発犬種と年齢
一般的には、軟骨異栄養性犬種(ミニチュアダックス、シーズー、ビーグルなど)で多発
する傾向がありますが、どの犬種であっても発生します。軟骨異栄養犬種においては、
生後1~2歳の段階から既に椎間板の変性が始まる事が知られています。特徴として、
ミニチュアダックスは3~7歳時に胸腰部に、ビーグルは若歳時から頚椎に、シーズーは
高齢時に頚椎や腰胸部に発生する傾向があります。

椎間板ヘルニアの症状
重症度により異なります。軽度の場合には、なんとなく動きが悪い、背中を丸めて震え
ている、ソファやベットの上にジャンプしたがらない等という痛みが中心の症状から
表れます。進行するにしたがい、足がもつれたり、フラフラと歩くようになります。重症と
なると歩行不能、感覚の消失等の症状が表れるようになります。

椎間板ヘルニアの診断
症状や身体検査所見によって本疾患が疑われます。確定診断はCT検査で行います。
脊髄造影という検査方法で椎間板ヘルニアを診断する方法もありますが、もしも手術
になってしまった場合には、詳細で正確な診断が求められることから、当院ではCT検査
を利用しています。CT検査は、正確な解析を行える獣医師が在籍する大学病院を利用
させていただいています。

CT検査の実際
1週間前の散歩中にギャンと鳴いて震えだしてから、後ろ足がフラフラするようになり、
2日前から後ろ足が立たなくなってしまった、ミニチュアダックスの男の子のCT像です。
左のCT像の矢印が示す丸い部分が脊髄神経です。右のCT像では、白い物質(椎間板
物質)によって脊髄神経が圧迫されている様子が描出されています。
aaa

上記の写真を3D化し、手術に必要な詳細な情報を得ることが可能となります。
aaaaaaa

1
酪農学園大学大学病院提供

椎間板ヘルニアの治療
内科療法
脊髄神経への圧迫により生じる炎症やフリーラジカルという酸化物質から、脊髄神経を保護することを目的とした治療です。圧迫そのものの解除はできませんが、軽度の椎間板ヘルニアであれば外科療法と同等の治療効果があります。しかしながら、治療効果がすぐに表れないため、治療効果判定に時間がかかったり、治療効果が出た場合であっても、およそ30%で再発するというデメリットがあります。

外科療法
直接の圧迫原因となる、変性した椎間板物質を手術により除去します。非常に重度の圧迫でなければ、内科療法と比較して、早期の回復および完治が期待できます。しかしながら、重症例では治療効果が決して高くないことや、術後も他部位での椎間板ヘルニアの発生は起こり得るなどのデメリットもあるため、慎重な選択が求められます。

手術の実際
    神経外科ではより完全な消毒が求められます。通常の術野消毒を行った後に、
特殊なフィルムを皮膚に貼り付けてから手術が開始されます。
DSCF3258
CT検査に基づいて、圧迫を受けている部位の背骨に、ドリルを用いて小さな穴を
開けるように骨を削っていきます。この際に、ドリルによる過度の振動や熱が神経に
伝わらないように注意することが大切となります。
DSCF3271
脊髄神経に到達したら、圧迫部位を確認していきます。黄色矢印の部位で神経の
圧迫が認められます。この圧迫を起こしている椎間板物質を慎重に除去して手術
は終わりとなります。
DSCF3280
除去された椎間板物質の写真です。これで神経への圧迫が解除されます。
DSCF3284

椎間板ヘルニアの発症は急であることが多く、治療方法の選択(内科療法、外科療法)も早急に決定する必要がある場合が多くなります。また、様々な程度の症状を呈する本疾患においては、治療効果もそれぞれの症状によって異なります。治療効果が出るまでに1ヶ月以上の時間を要することも度々あり、辛抱強い治療や看護が大切な疾患です。同時に、CT検査を正確に行える施設が限られていたり、適切な治療が行われたのに関わらず、軽度から中等度の症状であっても10~20%で、重度の場合では、半数以上で歩行機能障害または歩行困難が後遺症として残ってしまうことがある、とても怖い疾患の一つです。万が一、本疾患に罹患してしまった場合には、様々な課題に対して、慎重な検査治療計画を相談しながら立てていくことが大切です。