病院だより

繁忙期の午前の診療受付について

例年4月〜6月は、国の指定する狂犬病予防注射推奨期間となり、動物病院が繁忙期となってしまいます。それに伴い、待ち時間の超過をはじめ、混雑によるご不便をおかけ致しております事をお詫び申し上げます。

混雑に伴い、特に午前の診療受付において飼い主様よりご指摘いただく機会が増えてしまっている事案がありますので、改めまして現状のご報告をさせて頂きます。

 

ご指摘いただく事案
午前診療時間内で受付をいただいているが、診察の順番が来るのが午後になってしまうケース

状況詳細
当院では朝9時〜12時に午前の外来診療、12〜15時に手術並びに検査、15時〜18時に午後の外来診療を行っております。当日の手術、検査内容によって必要な時間は異なり、確実な手術検査時間の確保のために午前の診療時間の延長可能時間に限りが出てしまいます。そうした中、診察可能な件数を受付件数が上回ってしまった場合、午後の診療時間でお呼びさせていただいています。

午前受付をしていただいているのに、午前の診療時間の枠で診察ができない場合、必ず病院からお電話にてその旨をお伝えさせて頂きます。容態が悪い場合や特別な事情(絶食指示での検査等)がある場合には別途対応させていただいていますので必ずお電話の際にお伝えください。

スタッフ一同、午前に受付していただいた飼い主様全てに対応したい気持ちで励んでおりますが、たくさんの飼い主様に当院をご利用いただける感謝とともに、時間的限界のある中、安定的な診察、検査、手術の時間確保と質維持のための必要な措置としてご理解頂けますようお願い申し上げます。また、全てのご希望に対応することが難しい現状を改めましてお詫び申し上げます。

 

厚別中央通どうぶつ病院

 

 

野上獣医師の退職のお知らせ

2019年より当院にてたくさんの患者さんのためにご尽力いただいた野上獣医師の退職をお知らせさせていただきます。

退職日時:2024年6月末日

野上獣医師が担当させていただいていた飼い主様におかれましては、引継ぎ等でご心配な点がありましたらお気軽にスタッフまでご相談ください。

 

『病院だより』の更新情報

◯野上獣医師の『Dr野上の腫瘍講座7』がアップされました。今回の内容は消化管に発生するリンパ腫に関してです。リンパ腫のタイプによっては臨床症状だけでは慢性腸炎との鑑別が難しいものもあり、また、鑑別診断には鎮静や麻酔が必要な場合も多く、早期診断に苦慮する場合が多くあります。さらには、治療の選択肢も多く、どの治療が愛犬、愛猫に最善かを迷ってしまう事も多くあります。慢性の下痢が続きなかなか治らない場合や、治療方針に迷われている方はどうぞお読みください。セカンドオピニオンご希望の飼い主様にはご予約にてご相談を受けつけております。

◯前十字靭帯断裂の治療及びトイ種の前肢(橈尺骨)骨折の相談窓口はコチラからお問い合わせください。

獣医腫瘍科認定医 Dr野上の腫瘍講座7

〜消化管に発生するリンパ腫について〜

犬や猫では、悪性リンパ腫は消化管腫瘍のなかで最も多く発生する腫瘍です。

慢性的な食欲不振や嘔吐、下痢、体重減少などの症状を呈する高齢の犬や猫で診断されることも多くあります。

同じリンパ腫であっても悪性度や治療反応性は様々であり、抗がん剤を中心に多くの治療法が検討されています。抗がん剤治療と聞くと動物たちのストレスや副作用など負の側面が目立ち、治療に不安のある方も多くいらっしゃると思います。現在では、抗がん剤の副作用を予防、軽減する対策も充実しており、当院でも抗がん剤治療の際は積極的に対策しています。

また、動物たちのリンパ腫の治療は「完治」ではなく「長期寛解」を目的としており、腫瘍と共存しながらもできる限り長く、かつ元気に過ごすことができるよう治療を進めていきます。人の抗がん剤治療と比較して動物では薬剤を少なく投与することで、腫瘍に対する効果が減弱するというデメリットはあるものの、副作用の発現を抑えられるというメリットがあります。

リンパ腫は白血球の中のリンパ球が腫瘍化したもので、体のあらゆる部位で発生します。消化管のリンパ腫は胃、小腸、大腸や腹腔内のリンパ節にしこりを作り増殖することで様々な消化器症状が現れます。

今回は高齢の犬や猫で発生することが多い消化器のリンパ腫の診断、治療法についてまとめました。慢性的な消化器症状を呈する動物たちの検査や治療でお困りの方や、リンパ腫の疑いや診断を受けどのような治療が良いか迷われている方など少しでもお役にたてば幸いです。

 

診断
腹部エコーなどの画像検査により、消化管の腫瘤や腹腔内リンパ節の腫大、病変の発生部位(胃、小腸、大腸)などを確認します。腫瘤やリンパ節の腫大が認められた場合には、細い針を用いて病変の細胞を採取する細胞診を無麻酔または軽い鎮静下で実施します。

多くの場合細胞診で診断がつけられるのですが、以下のようなケースでは内視鏡検査や開腹下での腸の組織検査を考慮する必要があります。

・腫瘤が固く細胞診で十分な量の細胞が採取されない場合
・細胞診のみでは慢性腸炎という非腫瘍性疾患との区別が困難な場合(とくに小細胞性リンパ腫の場合)
・腫瘤を形成せずエコー検査で異常が検出されないタイプのリンパ腫の場合など

IMG_1526
<リンパ腫の消化管のエコー画像>
消化管(黒い部分)がドーナツ状に厚くなり、しこりを形成しています。

治療法
リンパ腫の多くは抗がん剤の効きが良いことや診断時には病変が広範囲に及んでいることが多くあるため、抗がん剤治療が適応となります。

犬や猫ではCOP、CHOPプロトコルと呼ばれる多剤併用療法(ドキソルビシン、ビンクリスチン、シクロフォスファミド、プレドニゾロン)が第1選択とされてきました。このプロトコルは体表に発生するリンパ腫(多中心型リンパ腫)に対しては非常に効きが良いのですが、消化器のリンパ腫に対しては効果が劣り、生存期間中央値は2~3か月ほどと報告されています。

また、このプロトコルに含まれるビンクリスチンという薬剤には消化器毒性があり、特に猫では1~2週間ほどの食欲低下や消化器症状が続くことがあります。リンパ腫の影響で嘔吐や下痢を呈している動物たちにとってはできれば避けたい副作用です。

近年ではビンクリスチンの代替薬として消化器毒性の少ないビンブラスチン、CCNU、ACNUと呼ばれる抗がん剤が選択されることもあります。これらの薬剤は消化器毒性は少ないものの骨髄毒性が強く白血球の数が大幅に減少することから、抗がん剤治療中の感染症などには注意が必要です。CCNUやACNUを用いたプロトコルではCHOP、COPプロトコルと比較して生存期間中央値が延長する傾向が認められ、消化器毒性が少ないことから消化器のリンパ腫においては主戦力となってくる治療と考えられます。

また、消化管のしこりが原因で腸閉塞や腸穿孔が疑われる場合は、抗がん剤治療の前に開腹手術にてしこりのある部位の消化管を切除する必要があります。この場合は放っておくと腹膜炎や敗血症に進行し命に関わるため早急な処置が必要となりますが、周術期のリスクも非常に高くなるため、麻酔手術に耐えられるかどうか慎重に判断しなければなりません。

また、閉塞や穿孔が疑われない消化管のしこりに対し、外科手術にてしこりの切除を実施後に抗がん剤治療を組み合わせる治療法も検討されています。特に猫では病変が限局していることもあり、外科手術も併用した場合の生存期間中央値が14か月と抗がん剤単独治療よりも良好な治療成績が報告されています。

低悪性度のリンパ腫ではクロラムブシル、メルファラン(+ステロイド)というご自宅で投薬が可能な抗がん剤治療が中心となり、生存期間中央値も約2年と経過が緩やかなことが多いです。

 

消化管のリンパ腫は種類によって治療法や予後が大きく異なります。病理検査の結果に基づいた適切な抗がん剤治療によって、より長く安定した体調を維持できることが理想的ですが、動物とご家族にとって治療が大きな負担となってしまわないよう、あらゆる治療方法についてメリットやデメリットを交えご提案させていただきたいと思います。副作用を考慮した抗がん剤や、副作用の予防や対策、通院頻度を抑えた治療法など詳しく知りたい方はどうぞ一度ご相談ください。

 

『病院だより』の更新情報

◯野上獣医師の『Dr野上の腫瘍講座6』がアップされました。今回の内容なモーズペーストという局所療法で、高齢などを理由に切除が困難な体表のシコリ(自壊したもの)に対して無麻酔で対応できる選択肢のご紹介です。グジュグジュになったイボやシコリでお困りの方は一読ください。

◯伊藤獣医師の『TPLO?TTA?関節外法?』がアップされました。前十字靭帯断裂時に検討しないといけない色々について詳しく書かれています。ご興味のある方は是非読んでみてください。

◯前十字靭帯断裂の治療及びトイ種の前肢(橈尺骨)骨折の相談窓口はコチラからお問い合わせください。