• ホーム
  • 病院のご案内
  • 診療時間・アクセス
  • 臨時休診日・診察時間変更などのお知らせ
  • 病院だより
  • コラム診察室
  • 病院の症例
  • 看護師通信
  • スタッフ紹介
  • リンク

  看護師通信

看護師セミナー17 動物看護学

こんにちは。看護師の坂本です。今回は動物看護学という、動物看護師の意識や振る舞いについてです。
これから動物看護師を目指す、または現職さんへという内容になっております。

以下内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

動物看護学、臨床動物看護学

動物看護の目的:その動物の生活ステージすべてに関与し、一生を支えること。
=病気の時のみではなく、元気な時も含め全ての段階に関与しサポートする。
個々の動物の環境や状況を理解し、個別性をふまえた看護を行う
この目的を理解した上で、動物の看護とは多様な環境に生存する動物種を、その動物に合った健やかな一生を全うできるように、健康の保持と増進、病気の予防と動物医療の補助に勤め、援助することである。

健康とは、身体、精神、および社会的に安定した状態であることを意味し、単に病気、虚弱でないということではない。
動物看護の基本とは安全な獣医療を提供する。安心を得られる。自立を助ける事である。

 各ステージに対する看護

健康な時:現状の維持及び病気予防。
栄養管理やワクチンの必要性の啓蒙、しつけ、避妊,去勢手術に関してなど。正しい、新しい情報を飼い主さんが全て知っているとは限らない。
病気の時:獣医療の補助と二次的発症疾患の予想及び予防。
さらなる苦しみが与えられないよう配慮する。
回復期 :日常生活の自立を目指す。
リハビリの実践や、元の生活になるべく戻るためのサポート。
終末期 :苦しまずに平和な死を迎える援助。
体を生前の綺麗な状態、その動物らしさを損なわないようにしながら送り出す。また飼い主の悩み、悲しみなどの心に寄り添える看護師でいる。

獣医師と動物看護師の職域の違い
獣医師は病気を診る、診察や診断など獣医師しかできない仕事がある
動物看護師は動物を看る。全体を丁寧に看る仕事。人の医療から学び、病気を診るのではなく病人を看る。献身的なだけではなく、観察力を持つことが重要。健康で快適な環境が動物の健康維持に必要と言う事を理解し、動物看護師が指導する必要がある。

動物看護師に求められる視点、能力
生活全般から、どのステージにいるのかを見極め、状態観察し、今後の予想や問題点を把握し、解決するための処置を実践する、動物看護のプロ視点。
飼い主と適切に関わり、絆をつくり、安全で安心して診療を受けられるようにする。
獣医師の言う事だけを聞くのが動物看護師の能力ではなく、動物、飼い主さんのために必要知識をつけ意見交換しながらより良い獣医療、生活を提供するサポートする能力が必要。

動物看護過程の実施
動物看護過程とは現状や目的、今後など必要なことは何かを観察し、見極め対応する手段や方法論のこと。看護記録として活用し、関わる全てのスタッフが共有出来て、同じことを出来るようにするためのもの。
アセスメント
情報の収集を行い、動物の現状把握。裏にひそんでいるものも推測し収集する。
問診内容の統一など、同じ情報を収集できると良い。
看護診断
正確な情報や診断をもとに、看護上の問題を抽出し、明らかにする。
現時点で存在する問題やこれから起こりうる問題を挙げる。
看護計画
問題点の解決方法や目標を設定し、達成するまでの対応や行動を考え出すこと。
目標は飼い主さんと相談して、無理のない目標を設定する。元気だった時と全く同じは厳しい場合もあることは相談して伝え、今可能な目標を設定。
目標達成後に、他目標を再設定することもできる。
実践
計画に沿って実際に動物への看護を提供。
今すぐ対処が必要なもの、緊急ではないが必要なものなど、優先順位をつけて実践する。この時二次的に起こりうる症状などの予防も一緒に。
看護記録
実践内容と結果が誰にでもわかるように記録。みんなで同じ情報を共有。
他者に理解しやすいように。記録の改ざんとならないよう、訂正は注意し、修正テープ等は使用しない。守秘義務があるので慎重に管理する。具体的な正確さ、簡潔さ、明瞭を意識して出来るだけ早くに記録する。
看護評価
看護目標が達成できたのか、どこに原因があったのかを評価し、必要であれば再アセスメントを行う。(目標の再設定)

クライアントエデュケーション
動物とより良く共生するために獣医療従事者から飼い主に必要な知識を提供し、個々の問題をともに解決していく事。
動物看護師としての専門性、コミュニケーション力、ホスピタリティマインドと言われるおもてなしの心が求められる。飼い主の期待に応え、期待以上のものを提供する。
動物病院で行われる主なものとしては
飼育、健康管理指導
 予防医療の指導
 関連法規の遵守と啓発       がある。
飼い主とその家族の生活リズムや環境に適し、実行できる計画を立てどのようなアドバイスが出来るかを考える事が動物の支援に繋がる。

2つのコミュニケーションスキル
バーバルコミュニケーション
言語のコミュニケーション。敬語や尊敬語、謙譲語はもちろん、クッション言葉や依 頼、肯定形の言語もきちんと使えるようにする。
ノンバーバルコミュニケーション
姿勢、身だしなみ、表情のコミュニケーション。目と耳からの情報で印象の93%は決まる。清潔感は信頼感につながる。ユニフォームは立場をあらわすもので、そこに個性を出す必要はない。
笑顔は不安を安心に変えてくれる要素。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いかがでしたでしょうか。

さまざまなことに注意し、思いながら働く事を求められます。
注意しあい、支えあいスタッフ間の連携を取りながら目の前の子たちのためにきちんと働いてきたいです。

看護師 坂本恵

看護師セミナー16 循環器

こんにちは。看護師の坂本です。
今回は循環器です。
循環器は心臓をはじめとして、身体を保ち、生きるために重要な部分です。
構造や機能など難しいところも多いですが、まとめました。

以下内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

循環器

循環器とは心臓、血管、血液循環、リンパ管、循環の調節のこと。
それぞれ生きていくうえで必ず必要なもの。人の循環器系の本でも学べる。
循環器疾患を疑う診察検査時には、できる限り心臓や呼吸に負担のかからないように注意し、特に神経質だったり興奮している動物は突然チアノーゼや発咳を起こすことがあるのでよく様子を見ながら診察検査を進める。重症の心疾患をもつ動物は、体位変換だけでも大きな負担になり、ストレスによって死亡することもある。
ショックを引き起こしていたり、引き起こす可能性があるので注意が必要。
循環器疾患の動物は、呼吸器系や泌尿器系疾患などを併発していることがあるので、他疾患がないか十分な観察も重要。循環血液量の関係で、心疾患のある子は腎臓に疾患を抱える可能性が高くなるので定期的な観察も必要。
正しい心音や心電図波形を理解し、看護師も異常を早期に発見できるようにしておく。
心電図波形のブロックと呼ばれるものの中には出た際に緊急的な対処がすぐ必要なものもあるので、しっかりと波形を読めるようにする。
自宅での環境管理や運動、食事管理など注意する点をまとめきちんとした管理の指導をできるように知識をつける。病院外でも、突然緊急的な症状が出る場合があることをきちんと伝えておく。

構造と機能 

心臓
心臓の内部は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれており、血液の逆流を防ぐ三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁という4つの弁をもつ。
全身の各組織で酸素を消費し、産生された二酸化炭素を多く含んだ血液を右心房で受け取り右心室のポンプ機能によって肺血管へ送る。肺で酸素化された血液は肺静脈を通って左心房で受け取られ左心室のポンプ機能によって全身へ送られる。このことからも他の臓器が動くために必須の重要な臓器であることがわかる。
個々の心筋は自動能を持ち、それらが心臓全体として統率された収縮運動を行うための仕組みを刺激伝道系という。右心房の洞結節から、一定のリズムで活動電位が送られ、房室結節、ヒス束、右脚・左脚、プルキンエ線維を経て心室筋に伝わり、心室が収縮している。この規則正しいリズムを洞調律といい、心電図の基本的な波形を示しているもの。
正常な心拍数は、犬で60~180回、猫で120~240回/分
心臓の壁は、内側から心内膜、心筋層、心外膜の3層から形成される。心内膜は血管の内膜から連続した膜で心臓の内面を覆い、弁はこの心内膜がヒダ状になり心臓内腔に飛び出したもの。心外膜は心底部で外側に折り返して心膜がある。心外膜と心膜の間に心嚢水があり、心臓がスムーズに動くことができるようにする役割がある。
心臓自体に血液を供給する動脈を冠動脈という。大動脈から右冠動脈と左冠動脈の2本の冠動脈がでている。

血管
血管壁のまわりに平滑筋と弾性線維が取り巻いている血管を弾性血管と言い、心臓に近い太い動脈はこの血管によってつくられている。
弾性線維はなく平滑筋のみが取り巻いている血管を抵抗血管と言う。平滑筋の収縮の度合いにより血管の内径が変化し、これにより血圧も変化する。細動脈血管で見られる。
内皮細胞が一層の非常に薄い血管壁を持つものを交換血管と言い、血管と組織の物質の交換を容易に行う事が出来る。毛細血管にある。
平滑筋が動脈ほど発達していなく、血管の太さが血液量で容易に変化するものを容量血管と言い、静脈をつくる血管。四肢の静脈には血液が逆流しないように静脈弁がある。

血液循環
血液の主な流れは
全身→右心房→右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房→左心室→大動脈→全身 となる。この順で各組織に血液や酸素交換、栄養などを運ぶ。
この他にもさまざまな循環が行われている。
肺循環は右心室→肺動脈(静脈血)→肺(ガス交換)→肺静脈(動脈血)→左心房
体循環は左心室→大動脈→動脈→細動脈→毛細血管(ガス交換)→細静脈→静脈→大静脈→右心房
冠状循環は心臓自体への血液の供給。2本の冠状動脈を通して行われる。
脳循環は内頸動脈と椎骨動脈を介して脳へ血液を送る。安定してグルコースと酸素を供給するために血液量を一定に保つ自己調節機構がよく働く。
門脈系循環は心臓から直接肝動脈により運ばれる血液と消化器官を通ってから門脈によって運ばれる血液がある。肝動脈血と門脈血は肝臓内で合流し後大動脈を通り、心臓に戻る。
腎循環は体循環の約1/4が腎臓に運ばれ、ろ過と再吸収により老廃物が排出され、きれいな血液が心臓に戻る。
骨格筋循環は運動時には交感神経の働きで血管が拡張され多くの血液が運ばれる。それに対して、安静時の血液量はわずか。
皮膚循環は体温が高い時に皮下静脈の血液量を増やすことで体熱を放散させ、体温が下がると血液量を減らし体熱の放散を防ぐ。

 リンパ系
毛細血管から組織間隙ににじみ出ていく液体成分のうち、静脈から吸収されなかったものがリンパ管を通して運ばれ、このリンパ管を流れる液体をリンパ液と呼ぶ。
リンパ系の役割としては、毛細血管からにじみ出た液体を血管に戻す。細菌や異物の侵入を防ぐ。生体の防御システムとして大きな役割を果たすリンパ球を産生する。消化された脂質や脂溶性ビタミンを運ぶ。等がある。

 循環の調節
血圧を決定する因子は、心拍出量と血管抵抗。
アドレナリンやノルアドレナリンは神経伝達物質として作用し、または血中に分泌され、体液性調節において血液調節に関わる。
神経性調節とは自律神経系による調節のこと。交感神経が優位になると血圧を上昇させ、心拍数も上げる。副交感神経が優位になると血圧を低下させ、心拍数も下がる。
体液性調節とは循環血液量の減少が起こると、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系が活性化され血管収縮や血液量の増加が起こり、血圧が上昇すること。また尿量を減少させ、体液量を増やし血圧上昇にはたらくホルモンも関与する。

循環器疾患の看護ポイント
問診により症状のでるタイミングがあるのか、その時の様子や症状について詳しく聞き取り緊急的な処置治療が必要な状況なのか判断する。
特定の品種や性別で好発疾患の参考になったり、また虚弱な若齢動物は先天性疾患の可能性も考慮する。
現在の症状や検査データから、疾患の重症度を把握、また現在の生活環境や習慣を聞き憎悪につながる習慣がないかを調べる。
治療中の場合はその後の症状の変化、投薬状況、水分の摂取状況、食事を把握し、心臓の予備能力を維持する生活ができているのかを確認する。
疾患によりまたは治療により生活行動に影響を及ぼしていたり、看護する際の不安がないかどうか飼い主さんの心のケアも同時に行う。
循環器系疾患の子には、一般的に低ナトリウム食を基本とした食事を与えるが、症状の程度や他の病気の併発、好みなどを考慮し選択する。また極度の肥満の子には肥満解消のプログラムを開始する必要があるかの検討をする。
入院中等に輸液を行う事もあるので、輸液中は常に観察し、輸液速度、排尿量、呼吸、心拍数、浮腫などをおこさないかを含め厳重な注意が必要。心疾患には急速な輸液は原則禁忌である事を覚えておく。
体位は基本、水平仰臥位よりは座位や立位の方が心臓の負担を軽減できる。様々な場面でその子にとってどのような体位が一番安楽なのか考え取れるようにしてあげる。自分で楽な体位が取れない時には、タオル等で補佐してあげることもある。
酸素の吸入が緊急的に行えるようにスタッフ全員がスムーズに動けるようにする。
心臓に負担がかからないようにと必要以上の援助や制限をすると、運動不足の筋力低下や心臓の予備能力低下をさせ過ぎてしまう事があるので適度に行う。
寒暖の差をなるべくないように特に急激な寒暖差を行わないよう注意する。
多くの心臓病の治療は心臓能の低下を薬によって助けることから、家族に投薬の大切さの説明と指導、確認が必要になる。このため、動物看護師自身が薬の作用や必要性を理解しておくことが大切になる。また、原因によっては完治が期待できない、完治しない場合や治療が年単位に長期間及ぶことがある。十分な説明を行い、治療、看護方針について相談しながら今後について全員で考えていく。

先天性循環器系疾患

 動脈管開存
出生に伴い閉鎖するはずの肺動脈と大動脈を連絡する動脈管がそのまま遺残し障害を引き起こす。左心の血液量が増大し、左心室が拡張して左心不全や全身の循環不全を引き起こす。プードル,シェパード,ボーダーコリー,アイリッシュセター,キャバリア,シェルティー,ポメラニアンなどの犬種で遺伝的要因が認められている。猫は比較的少ない。
治療は外科的処置。症状に応じて内科療法。

 大動脈弁狭窄
大動脈弁の形態的異常や周囲組織の異常のために、大動脈弁部の血流が阻害され様々な障害を引き起こす。特に左心室に負担がかかることが多く、左心室肥大や全身循環障害、心機能の低下がみられる。ゴールデン,ニューファンドランドなどに好発するといわれている。
治療は軽度~中程度の狭窄の場合は、治療しなくても長期生存する可能性がある。
中~重度の狭窄では、3歳齢までに死亡する可能性が高い。
症状に応じた内科療法を行う。

 肺動脈弁狭窄
肺動脈弁の形態的異常や周囲組織の異常のために、肺動脈弁部の血流が阻害され様々障害を引き起こす。特に右心室に負担がかかることが多く、右心室肥大など右心不全がみられる。最終的には大循環にうっ血を生じ、腹水や浮腫などがみられるようになる。ほかの先天性循環器系疾患を伴うことが多い。シュナウザー,チワワ,サモエド,コッカーなどに好発するといわれている。
治療は症状が軽度の場合や、高齢で手術が困難と判断される場合は、不整脈の現れ方をみながら、内科療法。心臓への負担が重い場合や狭窄が重度の場合は外科的処置。

心室中隔欠損
胎児期の発達異常により、右心室と左心室を隔てる心室中隔に欠損が生じ、孔としてそのまま遺残することで様々な障害を引き起こす。特に左心系の血流量が増大し、左心室が拡張して、左心不全や全身の循環不全を引き起こす。犬よりも猫の報告が多い。
治療は、欠損が小さい場合は無治療の事もある。症状に応じた内科療法。外科処置を試みる事もある。

 ファロー四徴
肺動脈狭窄、心室中隔欠損、右心室肥大、大動脈騎乗を伴った場合をファロー四徴と言う。血液の流れが複雑で、動脈血と静脈血が混合するためチアノーゼや呼吸困難を呈するなどの障害を引き起こす

後天性循環器系疾患

僧帽弁閉鎖不全症
左心室の入口にある僧帽弁が何らかの理由で正しく閉じなくなるため、左心室から左心房へ血液が逆流し、心不全が引き起こされる。
犬の心疾患の80%で高齢の小型犬に多く発症。特にキャバリア,マルチーズは発症率が高く、それぞれ3~4歳、7~8歳から発症するケースが多い。
症状としては咳。最初は夜中から明け方や、興奮時に乾いた咳をするようになり、症状が進行すると咳が止まらなくなったり、呼吸困難を起こす場合もある。また、発作を起こし倒れたりすることがある。
治療は内科療法が基本。血管拡張剤、強心剤、利尿剤、抗不整脈剤などを投与し心臓の負担を減らし、症状の改善に努める。
外科処置を考慮する場合もある。
運動量調整や興奮させないようにする、塩分制限など心臓の負担を減らすための生活指導も治療のうち。

 拡張型心筋症
何らかの原因により、心臓壁を形成する筋肉が薄くなるために血液の拍出力が低下し、うっ血性心不全をはじめ様々な循環不全の症状を引き起こす。
犬では超大型犬やドーベルマン,ピンシャー,コッカ―などで遺伝による拡張型心筋症が確認されている。猫ではタウリン欠乏によって発生する。
症状としてははっきりしない場合もあるが、不整脈、頻脈、嘔吐、咳、食欲不振、運動不耐性、虚脱、失神などがみられることがある。呼吸困難がある場合、胸水や心膜液が貯留していることがある。血栓が形成され血管閉塞する事もあるので注意が必要
治療は症状に応じた内科療法。予後は不良で短命のことが多い。

 肥大型心筋症
左心室壁を形成している筋肉が急激に肥厚するため、左心腔が狭窄して必要な血液量を全身に拍出することが出来なくなる。猫ではメインクーン,ペルシャ,アメショで遺伝によるものが確認されている。
症状としては呼吸困難、運動不耐性。左心房が拡張するとともに、血液が停滞する結果、肺水腫を引き起こす事もある。時に突然死をも引き起こす。血栓が形成され塞栓症をおこすこともあり、その場合後肢の痛み、麻痺、冷却が認められる。
治療は症状に応じた内科療法。予後は不良で短命のことが多い。

 犬糸状虫症
蚊を中間宿主とする犬糸状虫が心臓に寄生することで、運動不耐性、咳などが認められ、重度になると腹水や失神、喀血などを起こす。また死亡した犬糸状虫が肺や血管に塞栓することがある。予防薬での予防が可能で重要。猫やフェレットにも感染する。
治療は外科処置、駆虫薬の投与、その他状況に応じて内科療法。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いかがでしたでしょうか。

難しいところも多かったと思います。
先天性もありますが、後天性の循環器疾患は基本的には継続治療が必要なものになります。
しっかり理解して治療を行う事が疾患と付き合う上で必要になると思います。
様々な疾患がありますが、もっと循環器について学んでいかなければいけないと思いました。

看護師 坂本恵

看護師セミナー15 耳科

こんにちは。看護師の坂本です。
今回は耳についてです。耳は疾患としては多い場所ですが、構造をすべて理解している方は多くないと思います。
構造について、疾患について、また洗浄や点耳の注意点についてまとめてあります。

以下内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

耳科
耳は音を聞く感覚と、体の傾きや回転を感じ取る感覚を担う感覚器。
耳は日ごろから手入れできるようにしておかないと、1度炎症を起こすと、炎症を起こしていない耳の細菌バランスには2度と戻れないと言われている。そのため症状が出てしまうと長期化、慢性化しやすい。
どんな子でも高齢になっていくと老齢の難聴になっていく。聴覚、視覚から低下していき、味覚、嗅覚は最後まで残ると言われている。日頃の耳の管理と構造の理解で少しでも聴覚を失わないよう、疾患にならないようしていくことが大切。聴覚が無くなったからと言って、全く声をかけないという事はしてはいけない。何か言っている時の空気の振動や雰囲気を犬や猫は感じ取れるので、聴こえていなくても声をかけてあげる事が必要。抱き上げる時は視界に入ってから身体や心の準備をさせて、ゆっくり触れ抱き上げてあげる事。触れる際も手のにおいを嗅がせるなどしてから、ゆっくり撫でると良い。
耳の疾患の中には聴覚障害になるものの他に、平衡機能障害になることもある。その際はまっすぐ歩けないなどの歩行障害も出現するため、自宅でも安全な環境を整えることなど適切なアドバイスができるようにしておく。
耳は形により性格がわかれている事がある。これは、人が様々な耳の形の犬種を生み出しているからで、耳が垂れていたり、尾が巻いている犬種は特に人に従順で甘えん坊な子が多いと言われている。

 耳の構造としくみ
耳は外側から、外耳、中耳、内耳の3部分から構成されている。
外耳から内耳へは全て繋がっているので、外耳炎から中耳炎、内耳炎へ進行していく事があるので耳がおかしいと気づいたら、早めの治療が必要。

外耳
外耳は体表から飛び出している耳介と中耳まで続く外耳道からなる。
音を集めやすいよう軟骨によって形成されており耳介筋によって耳を動かして音源をつきとめている。犬猫の外耳道は、はじめ垂直に下に向かう垂直耳道と、途中で方向を変え水平に内側に向かう水平耳道がある。
外耳道の細胞構造は皮膚と同じ

 中耳
中耳は鼓膜、耳小骨、鼓室からなる。
鼓膜は皮膚と同じ構造なので敗れてしまっても修復され、また出血もする。
耳小骨は3つの骨からなり、それぞれ鼓膜側からツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨と名前がついている。その奥に鼓室と呼ばれる広い空間がある。中耳には鼓室内と外界の圧力を等しくする役割があり、内外圧を均等にしている。

内耳
最も奥にあり、複雑な形をした骨迷路と呼ばれる骨の空洞とその中に同様の形をした膜迷路がある。内耳は前庭部と蝸牛部に分けられ、前庭部は前庭と半規管という骨迷路と、球形嚢、卵形嚢、半規管という膜迷路からなる。蝸牛部は蝸牛という骨迷路の中に蝸牛管という膜迷路があり、蝸牛管の上下にはリンパ液で満たされた前庭階と鼓室階がある。蝸牛管と鼓室階をわける基底膜の上にコルチ器という感覚器官がある。
前庭は体の傾きを感知し、この情報が脳に伝わり頭の位置を決定する。半規管では回転すると中にあるリンパ液が流動し、それによりクプラという感覚毛の上にあるゼラチン成分が動かされるため、向きや回転を感知する。蝸牛部には聴覚の受容器であるコルチ器が存在し、音の振動を感知している。

耳科の検査内容

耳介の検査
耳介の検査は皮膚検査と特に違いはないので、症状に合った皮膚検査を行う。
耳介の脱毛の原因には感染症などの可能性もあるが、甲状腺や副腎皮質機能の異常である内分泌疾患の可能性もあるので血液検査やホルモン検査を行う必要がある場合もある。

 耳鏡検査
耳鏡を使用して外耳道の観察を行う。耳鏡に装着するスペキュラコーンを選択する時は挿入可能なサイズのうち、できるだけ大きな口径を使用することが一般的。
耳鏡による観察では、耳道が開存しているか、外耳道の色調、増殖性変化の有無、外耳道壁の潰瘍病変、腫瘍の有無を確認し、動物によっては鼓膜の観察も可能。

レントゲン、CT検査
耳道狭窄のため、耳鏡で鼓膜までの全ての耳道が確認できない場合の評価や耳道内の腫瘤の評価、中耳の評価などを主な目的として行われる。また、難治性の外耳炎では、腫瘍が存在したり、中耳に炎症が及んでいる事も多いため、画像診断が重要になることもある。

 耳垢の塗沫細胞診
原因菌の特定や、感染症を疑う時に行う。水平耳道の耳垢を採取するのが望ましい。
疑う原因菌の種類により、塗沫のみで顕微鏡検査を行うものと染色してからに行うものに異なる。

細菌培養、感受性検査
原因菌を調べるために細菌培養検査を行う場合がある。また同定された細菌に対して、どのような抗生剤が有効かを調べるため、感受性検査を行い、内服薬の検討を行う。

代表的な疾患

 外耳炎
水平、垂直耳道の上皮に炎症が起こった状態。
皮膚が赤くただれる、腫れる、耳垢が目立つ、悪臭、頭部を振る、後肢で耳を掻く、痛がるなどの症状がでる。
垂れ耳、長毛種、耳道内の毛が多い犬になりやすく、猫ではまれ。
原因はさまざまで、細菌や真菌の感染、寄生虫感染、アレルギー反応、腫瘍、異物の侵入などがある。アトピー性皮膚炎、アレルギーなどの基礎疾患を持っていることも多い。
治療は耳道の洗浄と点耳薬。特に炎症が強い場合は内服薬も併用する。
麺棒による耳道の洗浄は、行いすぎるとかえって耳道を傷つけ、炎症を悪化させる要因になるので注意が必要。

外部寄生虫
外耳炎を起こす外部寄生虫で、最も多くみられるのはミミヒゼンダニ。
感染が認められる場合、強いかゆみを訴えることが多い。
耳垢の顕微鏡検査で確定診断を行う。
犬、猫の外耳道に寄生するが、宿主を離れても数週間は生存可能なので完治後の再感染に注意する。また同居動物へ伝染する可能性もあるので注意。

 中耳炎、内耳炎
中耳や内耳にまで炎症が及んだ状態。外耳炎がなかなか改善しない場合、起こしている可能性がある。中耳炎の症状は外耳炎とほぼ同じだが、中耳付近を走行する神経に炎症が及ぶと、ホルネル症候群や顔面神経麻痺をおこすことがある。 内耳炎になると、斜傾、眼振、運動失調などの前庭障害が認められ、うまく歩く事が出来なくなったり、吐く事がある。
治療は内服薬。

 耳血腫
耳介軟骨の中に、血液が貯留し腫れる状態。
詳細な原因は不明だが、頻繁に耳を掻いたり、頭を振る、耳をぶつけるなどで耳介軟骨が骨折してしまい耳血腫になると言われている。 初期病変は耳介内側基部から始まり、先端に向かって拡大する。急速に出現し、頭をしきりに振るなどの不快感を訴える。適切に治療をすすめないと不自然な癒着をおこし、耳介が変形する。
治療をおこなっても再発が多い。外耳炎などの基礎疾患がある場合は同時に治療を行わないと再発の可能性が高くなる。 液体を抜き続けても治らない、変形させたくない場合は外科治療を行う。

 腫瘤
耳に発生する腫瘍として、良性の耳道内のポリープ、悪性の扁平上皮癌、耳垢腺癌があげられる。悪性の場合、取りきるためには耳介や耳道の切除も必要になる場合がある。切除の際には画像診断で範囲を決定する。扁平上皮癌は進行が早いので早期の判断が必要。

 自宅管理方法

 耳掃除
治療としても、治療後のケアとしても重要。
耳道皮膚に異常が認められない場合は、洗浄液を含ませた綿花で優しく汚れをふき取るのみで良い。綿棒を使用する場合は耳道内を鼓膜方向に擦らず、耳介方向に汚れを持ってるくるように使用する。綿棒は間違った使い方をすると鼓膜に汚れを詰めてしまったり、耳道を傷つけてしまう事があるので正しい使用方法を伝える。
耳道内に汚れがある場合は、洗浄液を直接耳の中に入れて垂直耳道を優しくマッサージして、顎を上に上げ液体ごと排出、または頭を振らせてもらい排出する。これを数回繰り返す。奥に塞栓している場合は、洗浄液を入れてから数分間そのまま待ち、軟らかくしてから除去していく。
正常な場合は可能な限り乾燥状態を保つようにし、自宅での耳掃除のしすぎや、誤った耳掃除の方法が疾患をおこさせたり、悪化させる場合がある事を伝え、正しい方法を指導する事が大切。また耳掃除を嫌がる子も多いので、疾患になってしまった時のことを考え、トレーニングを行っておくことも重要。

 点耳
治療のために点耳薬を処方されることは多い。方法をしっかり伝えないと治療がうまく行えないので注意が必要。
外耳道が垂直になるように耳介を上に向け保持し、点耳瓶の先端が直接指や皮膚につかないようにしながら、耳道内に必要量を滴下する。外耳道あたりの皮膚を上からマッサージし、あふれた薬液や耳垢をふき取る。この際耳介に出てきたものだけを拭き、外耳の中まで拭かないように注意する。
点耳後は耳を執拗に痒がっていないかを観察する。
耳の疾患の場合、痛みを伴っている場合が多いので周辺部位に手が触れるだけで嫌がり攻撃的になる事がある、その際は口輪等を利用するか、まずは他治療からはじめる。

耳の治療は疾患動物の性格や行動特性、家族のライフスタイルに合わせ、点耳薬などの自宅管理をしっかり行えるのか、通院治療の方が良いのかなどを考える必要がある。外耳炎などでは再発を繰り返す場合もあるので、適切な維持が出来るように説明をしていく必要がある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いかがでしたでしょうか。

耳科は多い疾患ですが学び直す機会の少ないところなので今回しっかり学び直すことができて良かったです。
点耳や洗浄方法など、お家でしている方法が不安な事もあると思います。
いつでもスタッフにお問い合わせください。

看護師 坂本恵

看護師セミナー14 消化器Ⅱ

こんにちは。看護師の坂本です。

今回は前回の続き消化器Ⅱになります。
消化器Ⅱでは症状や疾患についてをまとめました。代表的な疾患が多かったので聞いたことのある疾患も多いと思います。
治療や症状、原因などが簡単にまとめてありますので、何かの参考になればと思います。

以下内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

消化器Ⅱ

 嘔吐と吐出の違い
嘔吐:胃の内容物が様々な刺激による嘔吐反射によって口外に吐き出されること。吐く場所を探したり、特徴的な姿勢をとることが多いので前兆がわかることが多い。
吐出:食道の内容物を吐き出す動作。明瞭な前兆がなく、突然に食べたものを吐き出すことが多い。胃に到達していない食物が吐き出されるので胃液の臭いがなく、未消化で棒状に出てくる。吐き出した際に気管がうまく反応できず、誤嚥性肺炎を起こす可能性があるので注意が必要。

消化器疾患診療の対応
消化器疾患の場合、ストレスにより診察室内またはキャリー内で嘔吐、下痢をおこす場合もある。場所を汚してしまった申し訳なさを取り除けるように配慮が必要。また排出物は検体として重要な場合もあるので、確認してから廃棄する。
嘔吐、下痢は感染症の一例の場合もあるので、衛生面に十分注意する。
ストレスのかからない安全な保定を徹底する。
また、消化器疾患の場合十分に栄養が取れずに体力を消耗している場合があるので、
栄養管理も重要。症状改善後も食事内容の管理が必要な場合もあるので、きちんと説明できる知識をつけておく。論理上では適切な食事内容であっても、好みの問題で継続給与が難しい場合がある。家庭で給与を行う場合、飼い主さんと相談しながら他の選択肢を提案できるようにしておかなければ、困難で途中でやめてしまったり、良くない物をあげてしまう事もあるのできちんと話合っておく。

治療方法
治療方法は原因や疾患により様々だが、代表的な方法としては
薬物療法:胃粘膜保護剤、胃酸分泌抑制剤、制吐剤、抗菌薬、消化酵素製剤、免疫抑制剤などその症状や原因に合うものを選択し治療する。
 輸液療法:脱水の程度により皮下点滴か静脈点滴かを選択する。血液性化学検査や電解質検査の結果のもとに適切な輸液剤を選択し、間違えないように準備管理を行う。輸液中も電解質異常が出ないか注意。
 食事療法:消化管に負担のかからない食事の種類、与え方を考える。量や内容、与え方は疾患と症状の経過や様子により異なる。獣医師と飼い主さんとの情報交換をしっかりと行い、関わるスタッフ全員で共有する。
 非経口的栄養補給:中心静脈栄養法、経鼻チューブ、食道チューブ、胃チューブなどがあり、摂食不全や腸吸収が難しい時に行う。管理が大変なので、飼い主さんとしっかり話し合ってから行う。
 外科療法:物理的原因で消化管が閉塞している場合必要になる。

代表的な疾患

食道狭窄
食道が局所的に狭窄し、食物が通過困難になる。長期化することで炎症、吐出、流涎、体重減少などがおこっていく。
バリウム検査、内視鏡検査で診断。
治療は外科手術、対症療法として流動食による食事管理。頭部を上に向け起立状態を保持することで吐出からの誤嚥性肺炎の防止。

 巨大食道症
食道が拡張し、食物が移送されずに停滞してしまうため、食後に吐出する。
胸部レントゲン検査、バリウム検査で診断。原発として他疾患のあることもあるため、内分泌系も含め血液検査の実施。
治療は原発疾患がある場合はその治療。対症療法として食事管理。流動食の形態で1日分を数回に分けて投与。頭部を上に向け起立状態を20~30分保持し食事する。

 胃炎
急性と慢性があり、胃粘膜に炎症が起きている状態。感染、薬物、異物などが原因で起こすことが多い。嘔吐が一番多い症状で、出血が伴い吐血する場合もある。
血液検査で炎症像の確認。胃潰瘍の確定診断は内視鏡による、また生検し病理検査で特定する。
治療は重度の場合には絶食が必要で、この際には輸液が必要になる。嘔吐が無くなった後は胃腸負担の少ない食事を与え、胃粘膜保護剤、胃酸分泌抑制剤、制吐剤、抗菌剤など内服を検討する。

胃拡張捻転症候群
大型犬でおこりやすい、胃の拡張と捻転による疾患で緊急性を要する。
胃の捻転によりガスが出辛くなり、胃の拡張が進んでいく。拡張した胃が横隔膜や後大静脈を圧迫し、呼吸困難やショックをおこす。嘔吐したいが出来ない様子、腹囲膨満、呼吸速迫、意識低下、ショック状態などの症状がでる。
レントゲン検査、問診、身体検査で診断。
治療は拡張している胃の減圧を緊急で行い、捻転した胃の整復を外科的に行う。

 パルボウイルス感染症
パルボウイルスの感染により、発熱、嘔吐、出血性の下痢、脱水、食欲元気消失などを引き起こす。血球系や腸上皮の細胞に感染し増殖するため、二次感染による敗血症の危険がある。
血液検査で著しい白血球の減少が見られ、ウイルス抗原検査で診断する。
治療はウイルス疾患なので特効薬はなく、集中的な輸液と体力保持、二次感染に注意する。パルボウイルスは環境中で長期間活性があるので、消毒の徹底と他動物との接触を避けること。

腸炎
細菌やウイルス感染、食物、薬物のアレルギー、寄生虫など様々な原因で腸粘膜に炎症がおこること。下痢が主症状で小腸性と大腸性を見分ける必要がある。
量や出血の有無、便回数の変化、食欲の有無などを確認し見分ける。
検便や血液検査で重症度や原因を探り対処する。
治療は、原因が様々なので原因が分かった時点でその除去を行う。原因の特定が難しく対症療法で治ることも多い。嘔吐、下痢で脱水がある場合はその改善を行う。食事管理も重要。

 腸閉塞
イレウスともいう。異物による物理的なものが多いが、腸が通過障害をおこしている状態。異物による閉塞は急性の激しい嘔吐、元気食欲低下。緊急疾患であり外科的処置が必要。ただし、腫瘍による閉塞は慢性経過をとる事が多い。
腹部触診、レントゲン、バリウム検査、エコー検査で診断。
治療は、異物の場合は開腹し異物の摘出。対症療法。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いかがでしたでしょうか。

前回の構造よりは、わかりやすかったと思います。
前回の構造、栄養学と合わせると、今よりもっとしっかりとした看護をしてあげることが出来るようになると思いました。
ついに講座も半分を超えました。読み辛いところも多いと思いますが、お読みいただきありがとうございます。

看護師 坂本恵

看護師セミナー13 消化器Ⅰ

 

こんにちは。看護師の坂本です。
今回は消化器について学んでまいりました。
消化器症状の嘔吐や下痢は消化器疾患ではなくてもおこるので、嘔吐下痢についてというよりは消化器の疾患についてを学びまとめました。最後に簡単な栄養学も同時に学びましたのでまとめてあります。

今回も二部構成でしたので、詳しい疾患のことについてはⅡで学びまとめる予定です。

以下内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

消化器Ⅰ
消化器は口腔から肛門までの構造の事を言う。この全ての経路を消化管と呼び、一本の管として繋がっている。

消化器の構造
口→食道→胃→小腸(十二指腸→空腸→回腸)→大腸(盲腸→結腸→直腸)→肛門へと続いている。このうち、口から十二指腸までの胃カメラで診れる範囲を上部消化管といい、空腸から直腸までを下部消化管という。大腸カメラでは直腸から回腸までを診る事ができる。このため、空腸は上下どちらからも見辛い場所と言われている。
消化管内腔の大部分は、内側から内腔、粘膜、粘膜下織、筋層、漿膜の5層の構造からなる。この5層の構造はエコーで見る事が出来る。正常な場合、綺麗に直線の層でうつり、層のどこかに異常があると層が乱れたり見えなくなったりする。 ただし、食道、結腸、直腸は漿膜のかわりに外膜が覆っている。漿膜が無いと腫瘍の転移が起きやすく、また強度が保てないために縫合しても離開がおきやすく手術の難易度が高い場所。
腸管は自律神経の支配を受けるが、腸神経自体が消化管を支配する完全な反射回路を持っているため、脳や脊髄からの指令がなくても独立して基本的な機能を果たせる。 正常であれば食べてから30~2時間で胃からの物が無くなるように出来ている。 エコー中でも食物を食べていると10秒に1回は動き、食べていなくても30秒に1回は動き続ける。

消化管それぞれの構造

 食道
食道に消化機能はなく、口腔内で小さくなった食物を胃に運ぶ管。
犬では周囲の構造に関連して生理的に狭くなっている生理的狭窄部位が3つある。この3つの部位は食塊や異物等がつまりやすくなっている。
胸部前口:頸の付け根で胸腔に移行するため屈曲している
心基底部:第5~6胸椎付近で心臓の横に当たる
食道裂孔部:第10胸椎付近横隔膜を通過する
食道に異物がつまり手術になると、前記の通り開胸術になり呼吸や心臓など循環器の管理をしながら行うのと、縫合しても離開の可能性が高いので注意が必要。

 胃
食物を貯留し、胃酸中の消化酵素ペプシンによりたんぱく質の分解を行う。
胃の入口(食道との境界)を噴門といい胃底部に繋がる。胃の出口(十二指腸との境界)を幽門という。噴門から腹側にむかって、幽門につ続く胃の中央を胃体部という。 胃は大きく弧を描いており、長曲を大弯、反対側の短曲を小弯という。
胃粘膜は3部に分かれている。
噴門腺部:粘液を分泌する。
胃腺部 :胃底、胃体にあり、胃小窩と呼ばれるくぼみから粘液や胃酸を分泌する。胃液に含まれる塩酸は強酸性のために食物に付着している細菌を殺菌し腐敗を防いでいる。胃液には胃壁保護のためのレンニンが含まれている。
幽門腺部:粘液を分泌する。G細胞からガストリンというホルモンが分泌され、胃酸の分泌促進、胃壁細胞増殖作用、インスリン分泌促進作用がある。胃から十二指腸へ物が流れていくと十二指腸が刺激され、十二指腸粘膜で合成されるホルモンにより分泌が抑制される
➀、③の粘液により、胃酸で自分の胃が溶けないようになっている。
胃は漿膜が強く、手術で切開しても縫合でつきやすい。

 小腸
栄養素の消化吸収と大部分の水分の吸収を主な機能としている。
十二指腸、空腸、回腸からなるが基本的な構造に違いはない。内くうに輪状ヒダ、腸絨毛があり、小腸壁の内部には平滑筋と神経の層がある。胃から十二指腸に沿い膵臓が存在している。犬猫では空回腸の区別がつき辛い。

大腸
水分の再吸収と糞便形成が主な機能であるが、小腸で大半の水分は吸収されている。
盲腸、結腸、直腸からなる。犬猫は盲腸があまり発達していなく、結腸は犬猫では人とほぼ変わらないが動物種により形態の差が大きい。
結腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸に分けられる。

 肛門
犬には肛門周囲腺と呼ばれる腺があるが、猫にはない。
肛門には2種類の筋肉があり、平滑筋で出来ている内肛門括約筋は便が到達する緩み、横紋筋で出来ている外肛門括約筋は随意的に緊張させることが出来、それで便失禁を防ぐ。この外肛門括約筋は、腫瘤などにより手術で半分切除しても便失禁を防ぐことが出来るが、それ以上の摘出で便失禁をおこしてしまう。

 

消化器系の機能
消化管は栄養摂取と代謝を制御している。
食物を口から吸収し、肛門から便として排出するまでに消化管は、内分泌、外分泌、吸収などを行う。関係各所の臓器ときわめて密な連携を取り合っている。なので、関わるどの臓器に障害が発生しても、食物摂取ができなかったり、栄養吸収不全になったりして削痩してしまったりすることがある。摂取した食物が消化管内を移送している途中では、様々な変化がおき高分子な化合物から低分子な化合物へと分解される。これを消化という。
消化酵素は多くが膵液や小腸粘膜細胞分泌液に含まれており、小腸で分泌される。
人は唾液中にも消化酵素が含まれるが、犬や猫はほとんど含まれていない。 だが食物を見ることで、過去の経験による条件反射や口に食物が入る物理的刺激により唾液が分泌され、潤滑剤としての役割を果たす。
空腹は低血糖や脳の興奮により摂食中枢が刺激されおこる。

 

消化される栄養素
 5大栄養素:炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル
これに水を足すと6大栄養素になる。
体のエネルギーとなるもの;炭水化物、たんぱく質、脂質
体の構成成分となるもの :たんぱく質、脂質、ミネラル
体の機能を調整するもの :たんぱく質、ビタミン、ミネラル

炭水化物
糖質:消化酵素で分解されエネルギーとなるもの.ブドウ糖(グルコース)は単糖類で吸収が一番早い。
食物繊維:消化酵素では分解できない。水溶性と不溶性がある。便の固さなどに作用。

たんぱく質
植物性、動物性がありアミノ酸が多数結合したもののことをたんぱく質と呼ぶ。
腸液などの働きによりアミノ酸にまで分解され、小腸粘膜から吸収されて血液で肝臓に運ばれる。
アミノ酸には体内で作成できないため食物により吸収しなければならない必須アミノ酸と体内で作成できる非必須アミノ酸がある。犬と猫ではこの必須アミノ酸の数が異なる

脂質
1gあたりのカロリーが9kcalと他の5大栄養素の中で1番高い。
胆汁酸により乳化され、膵臓で分泌される。小腸絨毛からリンパ管へ吸収される。

ビタミン
脂に溶け吸収される脂溶性ビタミン(A,D,E,K)と水に溶け吸収される水溶性ビタミン(B郡,C)がある。脂溶性ビタミンは脂質と同じ吸収経路を辿り、水溶性ビタミンはB12のみ回腸で吸収され、他は空腸で吸収される。ビタミンA欠乏症がスパニエル系で多いといわれている。貧血時にはビタミン6,12、葉酸を注射や点滴にいれると良い。

ミネラル
酸素、炭素、水素、窒素の4元素以外の元素で、
主要ミネラル、必要量の少ない微量ミネラル、あげてはいけない有害ミネラルがある。
大部分のミネラルは小腸で吸収され、銅は胃、マグネシウムは大腸でも吸収される。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いかがでしたでしょうか。

消化器の事と同時に栄養学も学ぶと、より理解しやすかったです。
消化器や食事について理解できていると、看護の際にも色んな事を考えてあげられるなと思いました。

次回は疾患について消化器Ⅱを学んでまいります。

看護師 坂本恵