輸血の輪

動物の治療においても輸血を必要とする病気がいくつかあります。しかし、人の医療にあるような輸血バンクのシステムを、獣医療に構築することは、現時点では難しいと考えられます。また、一つの動物病院の単位で、十分な供血が可能なだけの動物の飼育は困難であり、多くの場合、不十分ながらも獣医師や看護士が飼育する伴侶動物からの供血で、輸血体制が維持されています。しかし、伴侶動物も歳を取ると供血が難しくなり、厳しい病気を抱え、複数回または大量の輸血を必要とする病気には、太刀打ちが出来ないという難しい現状があります。

こうした状況の中、複数回に渡り輸血を続けないと命が奪われてしまう厳しい病気を抱えるAちゃんの治療の際に、Aちゃんのお散歩友達の方々、そのお散歩友達の友達、また更にそのお友達と、本当に多くの方々から、『Aちゃんの事聞いたよ、うちの子でよければ協力するよ』、『他の友達にも声をかけてみるよ』等々の声をたくさんいただき、輸血に協力をして下さりました。

お友達ワンコから血液と一緒に元気をいただき、おいしい物もたくさん食べれました。そして何よりも、二つ返事で供血に協力してくれたり、たくさんの人に声をかけてくれたりという皆様の行為が、難しい病気、厳しい現実と向き合うAちゃんと飼い主さん、また私たち動物病院スタッフに大きな希望と力を与えてくれました。

声を挙げてくれた方々、供血に協力してくれた方々とワンコ達の気持ちが大きな輪となって、一つの病院では出来ない事を可能にしてくれました。この場を借りて感謝申し上げます。
ありがとうございました。