骨折(指の骨)

体の小さな犬種の場合、ちょっとした高さからのジャンプや、足先を物にぶつけてしまっただけでも、力の入り方によって指の骨を骨折してしまうことがあります。
何かの拍子にギャンと鳴き、足先を浮かした状態のままケンケンで歩いていたり、足先が腫れていて熱っぽく、痛がる様子があれば指の骨の骨折が疑われます。

指の骨折の治療方法
ギブス固定

骨折部が骨の中央付近で、骨のズレの少ない場合に適応となります。特に、小指や人差し指の骨折に有効な方法です。通常4~8週間のギブス固定が必要になります。
外科手術
ギブス固定で治らない場合、3本以上の骨折が認められる場合などで、外科手術が適応になります。骨折の状況により、プレート固定やスクリュー、ピン固定などが選択されます。

写真は人差し指と中指を骨折してしまったトイプードルのレントゲン写真です。
骨折の状況から、ギブス固定が適応となります。
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鎮静処置により痛みをなくした状態で、特殊なテープの巻き方で骨折してしまった指に
牽引をかけます。
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ギブス固定をするためのクッション材を巻きます。
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巻くと固まる特殊な包帯を使用してギブスを作成します。
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ギブス固定の場合、元気になって動き回ることで生じるギブスのズレや、骨折部のズレ
の確認のために頻繁なレントゲン撮影が必要になります。
①→④にかけて骨が少しずつ修復されていく過程が観察されます。骨折から7週間で
④の段階まで修復されギブス固定が終了となります。
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下の写真は、人差し指の一本だけを骨折してしまったビーグルの写真です。
骨折の状況からギブス固定が適応と考えられます。
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しかしながら、年齢や活動性、指の靭帯による牽引などの条件で、ギブス固定で治癒できない場合があります。こうした場合、一定期間ギブス固定で経過観察を行い、治癒が難しいと判断された場合には外科手術が適応となります。写真はラグスクリューという方法です。斜めに入った骨折線に対して圧迫をかけながら整復するのに適した治療方法となります。
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3本以上の骨折で負重肢が折れてしまっている場合には髄内ピンによるピン固定に副木などの外固定を組み合わせた方法が必要となります。外固定単独やスクリュー固定と比較すると切開も大きくやや侵襲的な治療法とは言えますが、外固定やスクリューの適応が厳しい骨折の形態においてはとても有効な治療法といえます。
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骨折の治療方法には動物の体格や性格、年齢、骨折部位や骨折の形態によって様々な治療方法が選択されます。必ずしも、骨折=手術や骨折=ギブス(外固定)ではないので、それぞれの骨折に合わせて、メリットとデメリットを十分に検討し、状況に合わせて慎重に選択することがとても重要と考えられています。