猫ちゃんの乳腺腫瘍

2017年11月15日

こんにちは!看護師の阿部です。
11月に入りますます寒くなり、朝はお布団から出たくなくなるような日が続いてきましたね!
我が家の猫たちも最近では暖房の前から離れず丸くなって寝ていることが多いです。あったかいところから離れたくないのは人も猫も同じですね。
私自身、猫が大好きなので猫ちゃんの飼い主様とお話しする機会が多いのですが、私の家でも4匹の猫を飼っています。
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4匹ともみんな雑種で、拾ったりもらったりと縁あって我が家にやってきた子たちです。
その中の1匹、長毛猫のまりもに今年乳腺腫瘍が見つかりました。今回はその乳腺腫瘍についてお話しします。
●乳腺腫瘍ってなに?
乳腺にできる腫瘤のことで、良性のものと悪性のもの(乳腺ガン)があります。
わんちゃんの場合、乳腺腫瘍の良性と悪性の確立は五分五分と言われていますが、残念なことに猫ちゃんでは80~90%が悪性腫瘍であると言われています。
●症状
猫ちゃんの乳腺は通常、前足から後ろ足の付け根にかけて左右4対(計8個)あり、特に乳腺腫瘍は腹部の乳腺にできやすい傾向にあります。
猫ちゃんの乳腺全体を触り、硬いしこりのようなものを見つけたら要注意!です。
腫瘍の大きさはさまざまですが、徐々に進行するにつれて大きくなります。腫瘍がある部分の乳頭が赤く腫れたり、液体がにじみ出てきたり、腫瘍の表面から出血がみられることもあります。
また、乳腺腫瘍は肺や胸への腫瘍転移が早く、転移してしまうと胸水がたまったり、胸膜炎によって呼吸が苦しくなってしまうことがあります。
●原因
乳腺腫瘍の原因ははっきりとはわかっていません。
しかし、10歳前後の猫ちゃんに発症が多いことから、老化との関係や、避妊手術をしていない猫ちゃんの発症率が、避妊済みの猫ちゃんに比べて7倍高いと言われていることから女性ホルモンの影響もあると考えられています。

●治療
治療方法は、外科的に腫瘍ができた乳腺の摘出を行います。
その腫瘍が良性か悪性なのかは、病理検査といって、当院ではなく外部の検査センターに提出して診断してもらう必要があります。
乳腺を摘出するには、全身麻酔をかけての処置になるので麻酔のリスクはどうしても避けられません。
先ほどもお話ししたように、乳腺腫瘍は肺や胸に転移することが多いので、手術を行う場合は事前にレントゲン検査などで転移がないかしっかり検査をして手術に挑みます。
症状や転移の状況によっては、放射線治療や抗がん剤を使った化学療法を行う場合もあります。
肺や胸に転移している場合、予後はあまり長くありません。早期発見、早期治療がとても大事です。

●予防するには…
乳腺腫瘍は、1歳未満で避妊手術を受けることで、発症率をぐっと下げることができます。
しかし避妊手術をしたからといって、100%予防できるわけではありませんし、避妊手術をする際にもどうしても全身麻酔をかけなければいけません。
女の子の猫ちゃんの場合、避妊手術をすると太りやすくなることもあります。どちらにしてもメリット、デメリットがありますので、獣医師とよく相談した上で猫ちゃんのためにどうしたら良いのか決めていきましょう。

我が家のまりもは、悩みに悩んだ結果、2回に分けて左右両方の乳腺を摘出しました。
麻酔をかけるのも怖いけど、転移したらもっとかわいそう…と思い、家族でたくさん相談して決めました。摘出した腫瘍は病理検査の結果、やはり悪性という結果でしたが今のところ転移もなく元気でいてくれています!
いつか転移してしまう可能性もありますが、元気で過ごせている時間を大切に、少しでも長く一緒にいれたらいいなと思います。

お腹を触られることを嫌がる猫ちゃんもいると思いますが、日ごろからスキンシップの一環として体を触ってお腹にしこりがないかチェックしたり、早期発見につなげられるといいですね。

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