コラム診察室

環境アレルギーに配慮した新しいフード「ダームディフェンス」

アレルギー性皮膚炎でかゆみを訴えるわんちゃんは、多くいます。かゆみの原因として、食物が関与している場合もありますが、50%以上は食物以外のものが原因になっていると報告があります。犬の一般的な環境アレルゲンは、花粉・かび・ほこり・ノミの刺入になります。この環境アレルゲンに対しての生体内のアレルギー反応に対応する形で、ヒルズから画期的なフードが発売されています。  このフードの特徴は、ヒスタガードというVit.Eを含む抗酸化成分・アレルゲンに対する免疫反応をケアするポリフェノール・抗酸化作用をもつ卵を使用した独自の栄養ブレンドを配合しており、環境刺激や犬アトピー性皮膚炎時の免疫反応を栄養学的に管理しています。また、高レベルのオメガ3脂肪酸により皮膚バリアを健康な状態に維持し、高レベルのオメガ6脂肪酸で、内側から健康な皮膚と被毛のケアに役立たせています。蛋白源としてチキンが使われているので、チキンや卵に反応しない子であれば、一度試してみる価値があると思います。  皮膚が内側から健全となることでかゆみが減り、お薬の投与回数や投与量が減るとうれしいですよね。ご興味のある方、どうぞご相談下さい。                       獣医師 半澤

ワクチン時の抗体価検査(犬用ワクチンチェック)

ワクチン時の抗体価検査(犬用ワクチンチェック)
犬用の混合ワクチンとして5種種混合や8種混合ワクチンが、各種メーカーから販売されています。これらのワクチンの中には、コアワクチンと呼ばれるジステンパー・犬アデノ・犬パルボウイルス感染症予防目的のワクチンと、ノンコアワクチンとしてパラインフルエンザ・レプトスピラ感染症予防目的のワクチンとの2つのタイプのワクチンが含まれています。コアワクチンとは、致死性が高いため全ての犬に接種が推奨されているものです。ノンコアワクチンとは、地域やライフスタイルによって接種が推奨されているため動物病院での相談が必要となります。

感染の予防のためには、ワクチンを打って免疫をつけることが大事です。しかし、本当に毎年必要なの?と疑問に感じたことはありませんか?

免疫がしっかりついているのか、免疫効果が持続しているのかは、血液で病気に対する抗体価を測定しなければわかりません。また感染症の中には抗体価が高い=感染防御力があるとは解釈できないものもあり、そのため、多くの動物病院では定期的な接種を推奨してきました。

抗体価検査はこれまでも検査することは可能でしたが、外部の検査センターでなければ抗体価を調べることができず、かつとても高額な検査でした。しかしながら、犬用ワクチンチェックの発売に伴い、院内での検査が可能となり、迅速かつ廉価となったためオススメです!頻回の接種に不安な場合、ワクチンアレルギーで接種が不安な場合、免疫抑制剤を使用中でワクチン接種ができない場合でも、予防に必要な抗体価があることを確認できれば安心ですね。

現状では、ワクチン接種に変わる完璧な検査方法とまでは言えない部分もありますので、詳しくは診察の際にご相談下さい。

獣医師 半澤

高齢猫の健康診断のすすめ

ワンちゃんは、幼少時より混合ワクチン接種、狂犬病ワクチン接種、フィラリア予防と来院する機会が予防だけでも年数回あります。しかしながら、ネコちゃんの場合、混合ワクチン接種、避妊・去勢手術が終わると、ほとんどの場合で、体調が崩れない限りは次回の混合ワクチンまで来院されることはありません。もちろん、元気で食欲もあり、予防以外で来院せずに済むのが一番ですが、高齢になると、さまざまな症状が年齢による変化と思われがちとなり、自宅での病気の早期発見が難しい事が多いと思われます。 高齢猫の病気として一般的に多いのが、①慢性腎不全②変性性関節炎③甲状腺機能亢進症と言われています。

①     の場合、
尿量と飲水量の増加が特徴となります。しかしながら、徐々に飲水量が増えていると気づきにくいこともあります。トイレでオシッコをした後の砂の塊の大きさなどからおおよその尿量を把握しておくことが大切です。
②     の場合、
高齢猫の60~90%が罹患しているというデータもあります。最近、ジャンプしなくなった、動き回らず寝てばかりいるといった状況を年のせいばかりと思わず、関節炎があるのでは?と疑ってみることが大切です。
③     の場合、
食べているのに痩せてくる、よく鳴くようになる、興奮しやすくなる、徘徊する、嘔吐や下痢をしやすくなる等いろいろな症状があるのが特徴となります。緩徐に進行することも多く、早期発見が難しい疾患の一つとも言えます。年に一度程度、甲状腺ホルモンの定期検査を推奨しております。

これらの病気は、血液検査や画像診断(レントゲン検査、超音波検査)で診断されます。検査のために麻酔をかける必要はありません。病気治療は、早期診断、早期治療が一番です。人が一年に一回人間ドックを受けるのと同じように、ご家族の一員であるネコちゃんの健康診断をおすすめさせていただきます。

獣医師 半澤

 

腎不全を早期発見するための新しい検査 SDMA

日本臨床獣医学フォーラム北海道地区大会がコンベンションセンターで開催され、腎臓における新しい検査方法が紹介されました。

今まで腎機能の評価として、血液化学スクリーニング検査ではBUN,Creをみてましたが、腎機能の75%が失われて初めて明確に上昇し、早期発見には不十分でした。また、尿比重の低下は、腎臓病以外でも起こったり、腎機能の67%が失われてから低下するため、それほど早期発見にはなりませんでした。そのため、早期に腎臓病を発見できる簡便な検査が必要となっていました。

SDMAは、細胞の核内で作られ、ほとんどが尿に排泄されます。CreやGFR(糸球体ろ過率)ともよく相関し、Creの上昇と比べて、猫で平均17ヶ月、犬で平均9.5ヶ月早く上昇すると言われています。2016年夏以降から検査受託の予定となっています。

早期発見できれば、早期治療をスタートすることができ、延命にもつながります。動物病院にとって心強い味方ができましたね。

獣医師 半澤

 

ロイヤルカナンセミナー参加

3月23日にロイヤルカナン主催の消化器疾患についてのセミナーに参加してきました。前半は、慢性下痢の治療について、後半は肝胆疾患の食事療法についてです。  3週間以上消化器症状を示す慢性腸症は、食事反応性、抗菌薬反応性、ステロイド反応性に別れます。この順番に臨床症状や予後は悪いですが、50%以上が食事反応性という報告があります。  様々な検査に著変なく、内科療法に反応しない子でも食事を変更するだけで良化する場合があるとのことです。そして、不思議なことに良化後、フードを戻しても再発しないことが多いそうです。  また、脂質負荷をかけるとALPが上昇したり、胆嚢の運動性低下が起きます。そのため、空胞性肝障害や胆嚢粘液嚢腫の場合でも低脂肪食で良好な結果が得られることがあるとのお話でした。  食事療法は、体に負担のかからないやさしい治療法となります。その子に適したフードかどうかを判断するためには、数日~約2~3ヶ月ほどかかる場合があります。また、数種類試さなければならない場合もあります。しかし、適していれば、休薬や減薬も可能になるかもしれませんので、投薬ストレスを軽減してあげることができます。食事療法は、治療法の1つとしてご紹介させて頂いておりますが、飼主様も「うちの子のフードはどうかしら?」と思いましたら、どうぞご相談下さい。

獣医師 半澤