コラム診察室

免疫健康診断

酪農学園大学動物病院の腫瘍科にて現在、血液中のリンパ球分裂能の分析から犬の免疫健康診断を実施する試みを行っております。リンパ球の分析を行う機械の導入にあたりサンプリング期間として無償で免疫診断を受けることができます。ご興味のある方はスタッフまでお問い合わせください。なお、大学病院で初診料のご負担は必要となります。

免疫健康診断として本大学病院で明らかになっていること
・犬の加齢に伴い血液中のリンパ球サブセット(CD3+, CD4+, CD8+およびCD21+細胞)は有意に変化している。
・腫瘍罹患犬ではリンパ球サブセット(CD3+, CD4+, CD8+およびCD21+細胞)の数と割合は有意に減少している。
・腫瘍罹患犬では制御性T細胞(免疫を抑制するT細胞)が有意に増加している。
・腫瘍罹患犬のリンパ球の分裂能は有意に低下している。
・健常犬の3年間の予後調査を実施したところ、老齢犬のリンパ球サブセットの数と割合は、将来的な罹患や死亡を
予測する有用な因子となる可能性がある。

スライド1
酪農学園大学作成ポスター

獣医師:伊藤

口臭について

口臭の感じ方は、人それぞれです。動物における口臭の分類に関しての詳細な記載はありませんが、ヒトでは、生理的・病的・飲食物、嗜好物によるもの・心性と分類されています。  動物では、飲食物、嗜好物による口臭や心性口臭に関しては不明ですが、腐敗した食物や糞便を採食したあとであれば、口臭の原因にはなります。病的口臭は、歯周病をはじめ、口腔腫瘍、口内炎などよる口腔由来のものがほとんどです。しかし、腎疾患や糖尿病、鼻腔疾患や消化器疾患からも口臭はおこります。  このように口臭は、さまざまな病気から発生することが多いため、普段気にならなかった匂いが気になるようになったら、何らかの病気のサインであると認識することが大切です。もし、歯垢等からの口臭だった場合、デンタルジェルや善玉菌のサプリメントで改善する場合があります。さまざまなデンタルケア商品をご紹介することもできますので、ご相談下さい。

獣医師 半澤

隠れ重度歯周炎

M.ダックスは、長頭種で歯周病になりやすい犬種です。見た目、外側はとてもきれいでも、内側の歯周ポケットが深く、重度の歯周炎を患っていることがあります。そのため、頭部レントゲン検査による歯根周囲の骨吸収像の確認や麻酔下での歯周ポケットの深さのチェックが必要となります。骨吸収が大きい場合や歯周ポケットが深い場合、治療としては、残念ながら抜歯が中心となってしまいます。  歯がきれいなのに口臭がひどい、食べたい気持ちはありそうなのに食べようとしない、途中でやめるといった症状等がありましたら、見えないところで歯周病が進行している可能性がありますので、早めにご相談くださいね。

獣医師 半澤

皮膚科講習会

7月20日、皮膚科専門医である村山信雄先生による「猫の痒み」の講習会に参加してきました。  猫でよくみる痒みの原因としては、ノミやダニの寄生、皮膚糸状菌による感染症、精神的要因やアレルギー等があり、症状がわかりづらい猫は原因の追究が難しいこともあります。  その中でも今回は、アレルギーに関して少し記載します。一般に猫の病気は犬に比べると解明できていない部分が多くあるとされ、猫のアレルギーの原因についてもまだしっかりと同定はできていません。ただし、フードを変更すると改善する子はいるため、便宜上は食物アレルギーが存在すると考えられています。各メーカーが食物アレルギー用のフードを販売してはいますが、残念ながら完璧な食事は未だ存在していません。また、食物アレルギーの検査の1つであるIgE抗体検査についても、確定診断の方法としては不完全という意見も多くあります。  強い痒みは、人にとっても辛いものです。ネコちゃんは、症状がわかりづらい上に舌がザラザラしている分、脱毛やなめ壊し等で悪化させ、二次病変(細菌感染)を作ってしまいます。そのため、様子を見てしまうとさらに治療に時間を要してしまうことになります。毛がうすくなっていることを指標にして、早めに受診されることをお勧めします。  また、病変の全てに対してアレルギーが関与しているわけではありませんが、普段からフード等を気にかけておくのはよいことだと思います。

獣医師:半澤

ピモベハート発売  

心臓治療薬として欠かせないピモベンダン(ベトメディンR)がついに他製薬会社からも発売されました。
今までもワンちゃんが飲みやすいフレーバーでしたが、今回のは、かまぼこ風味です。何よりうれしいのが、剤型が小さくなったこと。粉にしても量が少なくなり、とても飲みやすくなりました。
今までの薬で投与に苦労された飼主さんたちには、喜ばしいことですね。

獣医師 半澤