看護師セミナー14 消化器Ⅱ

2018年9月7日

こんにちは。看護師の坂本です。

今回は前回の続き消化器Ⅱになります。
消化器Ⅱでは症状や疾患についてをまとめました。代表的な疾患が多かったので聞いたことのある疾患も多いと思います。
治療や症状、原因などが簡単にまとめてありますので、何かの参考になればと思います。

以下内容
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消化器Ⅱ

?嘔吐と吐出の違い
嘔吐:胃の内容物が様々な刺激による嘔吐反射によって口外に吐き出されること。吐く場所を探したり、特徴的な姿勢をとることが多いので前兆がわかることが多い。
吐出:食道の内容物を吐き出す動作。明瞭な前兆がなく、突然に食べたものを吐き出すことが多い。胃に到達していない食物が吐き出されるので胃液の臭いがなく、未消化で棒状に出てくる。吐き出した際に気管がうまく反応できず、誤嚥性肺炎を起こす可能性があるので注意が必要。

消化器疾患診療の対応
消化器疾患の場合、ストレスにより診察室内またはキャリー内で嘔吐、下痢をおこす場合もある。場所を汚してしまった申し訳なさを取り除けるように配慮が必要。また排出物は検体として重要な場合もあるので、確認してから廃棄する。
嘔吐、下痢は感染症の一例の場合もあるので、衛生面に十分注意する。
ストレスのかからない安全な保定を徹底する。
また、消化器疾患の場合十分に栄養が取れずに体力を消耗している場合があるので、
栄養管理も重要。症状改善後も食事内容の管理が必要な場合もあるので、きちんと説明できる知識をつけておく。論理上では適切な食事内容であっても、好みの問題で継続給与が難しい場合がある。家庭で給与を行う場合、飼い主さんと相談しながら他の選択肢を提案できるようにしておかなければ、困難で途中でやめてしまったり、良くない物をあげてしまう事もあるのできちんと話合っておく。

治療方法
治療方法は原因や疾患により様々だが、代表的な方法としては
薬物療法:胃粘膜保護剤、胃酸分泌抑制剤、制吐剤、抗菌薬、消化酵素製剤、免疫抑制剤などその症状や原因に合うものを選択し治療する。
?輸液療法:脱水の程度により皮下点滴か静脈点滴かを選択する。血液性化学検査や電解質検査の結果のもとに適切な輸液剤を選択し、間違えないように準備管理を行う。輸液中も電解質異常が出ないか注意。
?食事療法:消化管に負担のかからない食事の種類、与え方を考える。量や内容、与え方は疾患と症状の経過や様子により異なる。獣医師と飼い主さんとの情報交換をしっかりと行い、関わるスタッフ全員で共有する。
?非経口的栄養補給:中心静脈栄養法、経鼻チューブ、食道チューブ、胃チューブなどがあり、摂食不全や腸吸収が難しい時に行う。管理が大変なので、飼い主さんとしっかり話し合ってから行う。
?外科療法:物理的原因で消化管が閉塞している場合必要になる。

代表的な疾患

食道狭窄
食道が局所的に狭窄し、食物が通過困難になる。長期化することで炎症、吐出、流涎、体重減少などがおこっていく。
バリウム検査、内視鏡検査で診断。
治療は外科手術、対症療法として流動食による食事管理。頭部を上に向け起立状態を保持することで吐出からの誤嚥性肺炎の防止。

?巨大食道症
食道が拡張し、食物が移送されずに停滞してしまうため、食後に吐出する。
胸部レントゲン検査、バリウム検査で診断。原発として他疾患のあることもあるため、内分泌系も含め血液検査の実施。
治療は原発疾患がある場合はその治療。対症療法として食事管理。流動食の形態で1日分を数回に分けて投与。頭部を上に向け起立状態を20~30分保持し食事する。

?胃炎
急性と慢性があり、胃粘膜に炎症が起きている状態。感染、薬物、異物などが原因で起こすことが多い。嘔吐が一番多い症状で、出血が伴い吐血する場合もある。
血液検査で炎症像の確認。胃潰瘍の確定診断は内視鏡による、また生検し病理検査で特定する。
治療は重度の場合には絶食が必要で、この際には輸液が必要になる。嘔吐が無くなった後は胃腸負担の少ない食事を与え、胃粘膜保護剤、胃酸分泌抑制剤、制吐剤、抗菌剤など内服を検討する。

胃拡張捻転症候群
大型犬でおこりやすい、胃の拡張と捻転による疾患で緊急性を要する。
胃の捻転によりガスが出辛くなり、胃の拡張が進んでいく。拡張した胃が横隔膜や後大静脈を圧迫し、呼吸困難やショックをおこす。嘔吐したいが出来ない様子、腹囲膨満、呼吸速迫、意識低下、ショック状態などの症状がでる。
レントゲン検査、問診、身体検査で診断。
治療は拡張している胃の減圧を緊急で行い、捻転した胃の整復を外科的に行う。

?パルボウイルス感染症
パルボウイルスの感染により、発熱、嘔吐、出血性の下痢、脱水、食欲元気消失などを引き起こす。血球系や腸上皮の細胞に感染し増殖するため、二次感染による敗血症の危険がある。
血液検査で著しい白血球の減少が見られ、ウイルス抗原検査で診断する。
治療はウイルス疾患なので特効薬はなく、集中的な輸液と体力保持、二次感染に注意する。パルボウイルスは環境中で長期間活性があるので、消毒の徹底と他動物との接触を避けること。

腸炎
細菌やウイルス感染、食物、薬物のアレルギー、寄生虫など様々な原因で腸粘膜に炎症がおこること。下痢が主症状で小腸性と大腸性を見分ける必要がある。
量や出血の有無、便回数の変化、食欲の有無などを確認し見分ける。
検便や血液検査で重症度や原因を探り対処する。
治療は、原因が様々なので原因が分かった時点でその除去を行う。原因の特定が難しく対症療法で治ることも多い。嘔吐、下痢で脱水がある場合はその改善を行う。食事管理も重要。

?腸閉塞
イレウスともいう。異物による物理的なものが多いが、腸が通過障害をおこしている状態。異物による閉塞は急性の激しい嘔吐、元気食欲低下。緊急疾患であり外科的処置が必要。ただし、腫瘍による閉塞は慢性経過をとる事が多い。
腹部触診、レントゲン、バリウム検査、エコー検査で診断。
治療は、異物の場合は開腹し異物の摘出。対症療法。

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いかがでしたでしょうか。

前回の構造よりは、わかりやすかったと思います。
前回の構造、栄養学と合わせると、今よりもっとしっかりとした看護をしてあげることが出来るようになると思いました。
ついに講座も半分を超えました。読み辛いところも多いと思いますが、お読みいただきありがとうございます。

看護師 坂本恵

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