トキソプラズマ症について

2015年7月1日

最近、妊婦さんの飼主様が多いので、ズーノーシス(人獣共通感染症)のうちのトキソプラズマ症について記載します。 トキソプラズマとは、胞子虫類に属する細胞内寄生性の病原性原虫で、ほとんど全ての哺乳類や鳥類、一部の爬虫類に感染します。終宿主は、猫科動物であり、糞便中にオーシスト(卵のようなもの)が排泄されます。 ヒトへの感染経路としては、次のようなものがあります。

①垂直感染
胎内感染(妊娠中に初感染の場合) 経母乳感染はヒトでは確認されてません
②水平感染
経粘膜感染(消化管、結膜、気道粘膜)では、 生肉(豚・羊・馬・鶏・牛・鯨など)、生ハム、サラミソーセージ、生乳(まれ)、卵(まれ)などの摂食 、猫の糞で汚染された土壌(ペットについた土、ペットの顔なめ、口移し)との接触、 ハエ、ゴキブリなどからの食物の汚染 、血液媒介感染(輸血、臓器移植など)。

通常は、ヒトでの感染のほとんどは症状がでないまま経過します。トキソプラズマの母子感染が生じるのは、妊婦の初感染の時だけです。妊娠前に抗体検査で陽性であれば、リスクはなくなるようです。

そのため、妊婦さんの注意としては
①生肉を食べない。
②土いじりをしたら、十分に手を洗う。
③野菜の水洗いを十分に行う。
④生水を飲まない。
⑤海外旅行(フランスなどのヨーロッパ、アフリカ、ブラジルなど)に行かない。
⑥初めて子猫を飼い始めない。

妊娠前からネコを飼育されている方は、ネコちゃんからの感染を恐れる必要はないようです。もちろん、ワンちゃんからの直接の感染もありません。

獣医師 半澤

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