2018年2月内科学アカデミー所感

2018年2月22日

現在の獣医学において、てんかん発作の治療の中心は内科療法となっています。内科療法によって多くの場合で良好な管理状態を作れますが、残念ながら人医療と同様に、様々な内科療法を組み合わせてもおよそ20%のコで治療に反応しない難治性てんかんと呼ばれる病態を示してしまいます。お薬を増やしてもてんかん発作が抑えられない状態です。今回の学会では、いくつもの新しい事を学べましたが、印象に強く残ったのがてんかん発作に対するてんかん外科の講演です。人医領域では既に保険適応の治療となっているようですが、獣医領域では未だ臨床応用されていません。てんかん外科は、てんかん発作を起こしている脳の異常部位を特定し、異常部位に対して切除外科や遮断外科で脳の正常部位と切り離したり、電気刺激療法によって異常を安定化させる治療方法です。左右の脳を繋ぐ脳梁の切断という治療選択しもあるようです。大学を中心におよそ5年で臨床応用を目指しているという話でした。難治性てんかんで苦しむコ達にとってはもちろん素晴らしい医療技術であるとは思ったと同時に、講演の内容を聞きながら、どこまで人の医療技術を追うことが動物のため、飼い主さん達のためなのかを、我々動物病院の臨床医が取捨選択することも大切だと強く思った学会でした。

獣医師:伊藤

web予約