犬の認知症

2025年5月18日

犬の認知症とは、老化により脳の働きが徐々に低下して見られる行動障害のことです。その症状は主に10歳を超えたあたりからはじまり、12~14歳以上で急激に増加します。

大型犬では10歳頃から、小型犬では8歳頃から注意が必要となります。しかし年齢はあくまで目安です。なので、日頃から愛犬をよく観察する事が大切です。

認知症の症状例をいくつかご紹介致しますので、この機会に是非ご自身のわんちゃんの様子と比べてみてください。

① 見当識障害

  • 壁に頭を押し付けたまま動かなくなる
  • こぼしたフードを見つけられない
  • 円を描くように同じところを歩き続ける
  • 迷子になりトイレの失敗が増加する
  • 飼い主や、顔なじみのある人・犬がわからない

② 社会的交流の変化

  • 声をかけたり撫でたりしても反応しない
  • 無気力、無関心
  • 反応が鈍い、または攻撃的になる

③ 睡眠サイクルの変化

  • 昼間の睡眠時間が増え、夜中に活動的になる
  • 夜鳴きをするようになる

脳の働きが低下する原因は明確にはされていませんが、最大の要因は加齢だとされています。
また、日本犬(柴犬、秋田犬など)での発症が特に多いという報告があがっていて、遺伝的なものではないかとも考えられるようになってきています。

犬の認知症予防・治療法

上記では認知症とはどんなものかについてお伝えしました。ここからは、認知症の対策・治療法について、お話していきたいと思います。

ただし気をつけたいのは、認知症の症状がある!と思った場合でも、認知症以外の病気が隠れている可能性もあるので慎重な判断が必要です。


例えば…

◯トイレの失敗が増えた場合
→実は、膀胱炎や糖尿病、クッシング症候群であったり

◯夜中や徘徊行動が増えた場合
→実は脳腫瘍や神経疾患であったり

そのため、気になる症状がありましたら、他の病気の除外も含め、一度動物病院を受診して相談してみることをお勧めしています。

予防法や治療法

認知症は脳の老化現象です。そのため、完治や進行を止めることは難しい病気ですが、治療はいかにその進行を遅らせるか、わんちゃんと飼い主さんが共に快適に暮らせるかが重要となります。

⭐︎薬の処方

昼夜逆転や夜鳴きなど、認知症の症状を軽減するために、抗不安薬や鎮静剤などのお薬を処方できます。しかし、飲み過ぎてしまうとかえって危険な場合もありますので、必ず獣医師と相談の上、処方させて頂きます。

⭐︎サプリメントの処方

DHAやEPAといったオメガ3脂肪酸やビタミンEなどの成分が含まれたサプリメントを飲ませてもらうことで、進行を抑える効果が期待出来ます。症状が出る前であれば、予防にもつながります。

⭐︎知育グッズの使用

認知症になってしまったわんちゃんには、適切な運動と、適度な脳の刺激が必要です。ノーズトレーニングや知育グッズを使用することで、頭をたくさん使い、おやつを探すという意欲を持たせて、わんちゃんの脳を刺激することができ、こちらも認知症予防にも繋がります。

⭐︎生活習慣の見直し

例えば、体内時計が乱れると、昼夜逆転が起こりやすくなります。そのため、毎日適度な日光浴をしてもらったり、コースや時間を変えてお散歩にいくなど、わんちゃんに刺激を与えることで、症状の緩和につながる事があります。

次回は、それぞれの内容について、より詳しく紹介してきたいと思います。
なにかご不明な点やご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

看護師 佐藤 山田

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