猫セミナー

2017年10月25日

こんにちは。看護師の阿部です。
先日、札幌市教育文化会館で開かれました、市民公開講座に参加して参りました。
講座内容は「猫の常識・非常識‐気をつけたい猫の病気と症状‐」というもので、猫ちゃんに多い病気についての内容でした。
学んできたことを交えて、今回は猫ちゃんの泌尿器の病気についてお話します!
最近では猫ブームとテレビでも取り上げられることが増え、猫の雑貨や小物などお店でみかけることも多い気がします。猫好きとしてはとっても嬉しいことですね!
そんな猫ちゃんですが、実は来院理由としてもっとも多いと言われているのが、膀胱炎や尿石症など泌尿器のトラブルです。
泌尿器の病気は大きく分けると膀胱と腎臓の2つに分けられます。

~猫のトイレ事情~
●排泄を失敗したら…
・猫ちゃんはトイレでない場所でおしっこをして叱られても、「トイレではない場所での失敗」と「叱られたこと」を関連づけられません。
新しい絨毯やふかふかのお布団でおしっこをされてしまうと、ついつい「あ!こんなところでおしっこして!!」と、叱りたくなってしまいますよね。
でもそこは猫ちゃんのためにぐっと我慢しましょう。
猫ちゃんの場合、叱られたことでストレスになり、おしっこをすること自体を我慢するようになることもあるんです。
一般的に猫は特別にしつけをしなくても、自分のにおいを隠せる、砂があるトイレで排泄してくれます。
そこでトイレをできない、しない場合はトイレに何か問題がある可能性があります。

●どうしてトイレでおしっこしないの…?
トイレがあるのにも関わらず、トイレでおしっこしてくれない場合、ねこちゃんにとってそこでトイレをしたくない原因がある可能性があります。
‐考えられる原因‐
・場所が気にいらない(近くで物音がする、落ち着いて排泄できる環境でない)
・砂の材質が気に入らない
・トイレの形状や数の問題
・トイレの汚れが気になる
・他のねこのにおいがする
・その他何か嫌な原因がある
(トイレしているところを人に見られた、子供に追いかけられた、など)

●トイレの砂の材質
猫トイレの砂には、紙砂、シリカゲル、おから、木、鉱物のもなどいろんなタイプの砂があり猫ちゃんの好みも様々です。
お家の猫ちゃんの好みに合わせて砂を用意してあげましょう。
ちなみに我が家の猫たちは鉱物系の砂が好みですが、鉱物系の砂のメリットは多頭飼いにはありがたいことに比較的安価なことと、しっかり砂が固まってくれるのでトイレ掃除も楽です。しかしデメリットとしては、砂が舞うのでトイレ周りの掃除をこまめにしないといけないのが難点です。そしてなにより、砂が重たいのでゴミの日は大変です…。
また、トイレの数は「猫の頭数+1」が理想とされています。
1匹だったらトイレは2個、2匹であれば3個…となりますが、多頭飼いのお家ではたくさんトイレを用意するのはなかなか難しいかもしれませんね。
猫ちゃんは特に綺麗好きな生き物ですので、できるだけきれいなトイレを用意してあげられるように心がけましょう。

●猫の下部尿路疾患(FLUTD)
・トイレに問題はないのに、おしっこできない!そんなときは病気のサインかもしれません。
膀胱から尿道にかけての病気を総称して、FLUTD(猫下部尿路疾患)といいます。
細菌感染による膀胱炎、尿石、原因不明の特発性膀胱炎などがありますが、排尿時に痛みが出たり、血尿が出たり…。猫ちゃんではよくある病気のひとつです。

●こんな時は緊急事態!
トイレでいきんでいるのにおしっこが出ない、ポタポタ程度のおしっこしか出ていない。こんなときはすぐに処置をする必要がある可能性が高いです。
特に若い男の子の猫ちゃんは尿道が細く長いので、おしっこが出ていない場合、尿石症によって尿道閉塞になっていることが疑われます。すぐに処置をしないと命に関わる病気です。

●猫ちゃんの腎不全
おしっこの病気に続き、今度は腎臓の病気についてです。
おしっこが出ないのも病気のサインですが、それとは逆におしっこの量が多いのも病気のサインのひとつです。
特に高齢の猫ちゃんでおしっこの量が増えた場合、慢性腎不全が疑われます。
腎臓にはネフロンという組織があります。そこで血液中の老廃物をろ過したり、おしっことして排出する大事な役割をしています。そのネフロンが少しずつ壊れて、腎臓全体の機能が低下してしまうのが慢性腎不全という病気です。
残念ながら腎臓の組織はいったん壊れてしまうと元にもどることはありません。
高齢の猫ちゃんで、水をたくさん飲み、おしっこの量が増えた、元気・食欲がなくなった、という症状がみられましたら、もしかしたら慢性腎不全の可能性があるかもしれません。
症状はなくても血液検査や尿検査を行うことで早期に発見できることがあります。
慢性腎不全以外の病気でもおしっこの量が増える病気もありますが、普段からおしっこの量や色など気にしておくと良いですね。

当たり前のことですが、猫ちゃんは人のようにお話しすることができません。
苦しかったり、痛かったり、トイレに不満があっても直接言葉にできない猫ちゃんの気持ちを分かってあげられるのは、やはりいつも一緒にいるお家の人です。
正直、トイレ掃除をするのは気が進むようなことではありませんが、普段からおしっこの色合いや砂の塊の大きさなど気を付けてみてあげたり、いつもと違う様子はないかよく観察することが一番の病気の早期発見につながるかもしれません。
何か気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

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