「下痢を繰り返しているけれど、元気はある」
「フードを変えてみたけれど、良くなったり悪くなったりする」
「薬を飲んでいるけれど、いつまで続けるのだろう?」
「どうして下痢が続くの?」を、一緒に整理します
愛犬のお腹の不調が長引くと、飼い主さんもさまざまな不安を感じると思います。
慢性的な下痢には、食事、腸の炎症、膵臓などの消化器疾患、その他の全身性の病気など、さまざまな原因が関係します。
そのため当院では、「下痢=腸の病気」と最初から決めつけるのではなく、その子の状態を一つずつ整理しながら、原因を探していくことを大切にしています。
目次
慢性的な下痢は、「順番に」考えていきます
2026年に発表されたACVIM(米国獣医内科学会)のコンセンサスでも、慢性炎症性腸症の診断には、病歴や症状、身体検査、血液検査などを組み合わせた段階的なアプローチが推奨されています。
私たちも、例えば次のような情報を整理していきます。
① まず、今のお腹の状態を整理します
- 便の回数や状態
- 血液や粘液の有無
- 嘔吐
- 食欲
- 元気
- 体重の変化
- これまでの食事やおやつ
- お薬やサプリメント
などを確認します。
「下痢」という一つの症状だけを見るのではなく、その子全体の変化を見ることが大切です。
② 必要な検査で、他の病気がないか確認します
血液検査や糞便検査、必要に応じて画像検査などを組み合わせ、慢性的な下痢と似た症状を起こす病気がないかを確認します。
③ 食事療法を行うことがあります
慢性腸症では、食事療法によって症状が改善する子もいます。
食事療法は単に「お腹に優しいフードに変える」というだけではなく、その子の症状が食事に反応するタイプなのかを確認する、診断的な意味も持っています。
そのため、療法食を始める場合には、
「おやつはどうする?」
「薬は何に包めばいい?」
「家族が別のものを与えていない?」
といった、ご家庭での食事管理もとても大切になります。

「良くなった」を、できるだけ客観的に
慢性のお腹の病気では、「なんとなく良くなった気がする」だけではなく、治療前と比べてどのくらい変化したのかを継続的に確認することも大切です。
当院では必要に応じて、CCECAI(犬慢性腸症臨床活動性指数)などの評価方法も参考にしながら、
体重・便の状態・食欲・元気などの変化
を確認していきます。
ACVIMのコンセンサスでも、CIBDAIやCCECAI、便の状態、体重、体格・筋肉量などを継続的に評価することが推奨されています。
つまり、慢性腸症の診療は、
「薬を出して終わり」ではありません。
治療を始めたあとも、その子がどう変化しているのかを追いながら、必要に応じて次の治療や検査を考えていきます。
獣医師と看護師が、一緒に経過を見ていきます
慢性的なお腹の不調では、診察室にいる時間だけでは分からないこともたくさんあります。
「昨日は便が3回だった」
「おやつをやめたら少し便が良くなった」
「食欲は戻ったけれど、体重は減っている」
こうした日々の変化も、治療を考えるうえで大切な情報です。
そこで当院では、獣医師だけでなく看護師も一緒に経過を確認しながら、お腹の状態を継続的に見ていくことを大切にしています。
獣医師が検査結果をもとに診断・治療方針を考え、看護師が日々の症状や食事、ご家庭での様子を確認し、チームでサポートします。
そして、その情報を共有しながら、その子に合った治療を一緒に考えていきます。
チーム医療としてアップデート
より良い診療につなげるため、当院では院内での勉強会に加え、内科専門医の先生をお招きした勉強会なども行い、獣医師・看護師が一緒に知識を深めています。
新しい知見を学ぶだけでなく、そこで得た知識を日々の診療にどう活かせるかを考えることも、私たちが大切にしていることの一つです。
「下痢を止める」だけではなく、
「なぜ続いているのか」を一緒に考える。
慢性的なお腹の不調には、すぐに原因が分からないこともあります。
だからこそ、症状、食事、検査結果、治療への反応、ご家庭での変化を一つずつ整理しながら、その子に合った方法を一緒に探していきます。
「下痢がなかなか治らない」
「何度も繰り返している」
「食事や治療について相談したい」
そんな症状でお悩みの方は、どうぞご相談ください。
