犬の皮膚の構造

2025年6月8日

こんにちは。看護師の柴田です。

前回はシャンプーのご紹介をさせていただきましたが、今回は犬の皮膚の構造についてご説明させていただきます。犬のスキンケアを行う上で、とても大切な事なので、拙い文書ですが最後までぜひ読んでみてください。

犬の皮膚は1枚のただの膜ではなく、3層の薄い膜に分かれています。各層が合わさって一枚の皮膚として存在するのですが、角層がそれぞれ重要な機能を持っています。

○犬の皮膚構造

皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3つの層で構成されています。

①表皮

3層の中でもっとも外側にある薄い層で、外側から角質層(角質細胞層)→顆粒細胞層→有棘細胞層→基底細胞層の順に並んでいます。外部からの刺激や水分の蒸散を防ぎ、主にバリア機能を担っています。このバリア機能については後ほどご説明します。

②真皮

表皮の直下の層です。弾力性があり、コラーゲン、血管や神経などが通っています。皮膚の弾力性を保ち、刺激に対しての反応や感触に関与しています。

③皮下組織

最下層の層で、主に脂肪組織で構成され、体温調整やクッションの役割をしています。

○犬の汗

犬は汗をかかないと言われますが、犬の皮膚にもアポクリン汗腺とエクリン汗腺の二種類の汗腺がちゃんと存在しています。

アポクリン汗腺:粘り気のある匂いの強い汗を分泌します

エクリン汗腺:サラサラとした水分量の多い汗を分泌します。

犬の場合、ほとんどがエクリン汗腺で、鼻と肉球に集中しているため、汗をかかないと言われる由来となっていますが、皮膚の病態(脂漏症)によっては汗腺の過形成が生じる事があり、スキンケアの対象として重要な因子となることがあります。

○皮膚のバリア機能の成り立ちと重要性について

前述の表皮のバリア機能ですが、これは表皮の角質層と、角質層を覆うように分泌される皮脂膜と呼ばれるもので構成されています。

脂質膜は、表皮内の細胞から分泌されるセラミドやコレステロール、脂肪酸などで形成されているのですが、皮膚を乾燥から守るだけに留まらず、空気中の様々なアレルゲンや異物、細菌などの外的刺激が体内に侵入するのを防いでくれています。空気中には膨大な刺激物があるのですが、皮膚が健康でいられるのは、この角質層と脂質膜とで形成するバリアがあるからこそと言う事になります。

皮膚のトラブルを抱えているコ達の中には、この皮膚バリア機能が壊れてしまっているコ達が多くいます。そのため様々な刺激が皮膚内に侵入し、痒みや赤み、脱毛などのトラブルが発生するという考え方になります。

犬のスキンケアでは、犬の皮膚構造を考えながら、皮膚バリア機能の破綻の原因を考えたり、バリア機能修復のためにどうのようなサポートをすることが最善なのかを考えることが大切と考えられています。

ではどうやって皮膚バリアを修復したり、健康に保つ事ができるのか?

続きはまた次回の記事でお伝えさせて頂きます。

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