皮膚バリア機能の修復と健康〜外からのスキンケア①〜

2025年11月14日

こんにちは。看護師の柴田です。

前回はスキンケアの概念と種類についてお話させていただきました。

前回のポイントの復習ですが、スキンケアの最大のポイントは「皮膚の恒常性=継続的にノーマルな状態の維持」を目的とする事でした。皮膚のトラブルはこの恒常性が崩れることによって引き起こされるので、スキンケアを用いてサポートしてあげることが重要になってきます。

今回は「外からのスキンケア」の洗浄・保湿・保護・賦活の4つの内「洗浄」と「保湿」についてご説明させていただきます。

「洗浄」と「保湿」はスキンケアにとってとても重要な基本となってきます。

○洗浄

洗浄とは文字通り皮膚を洗うということになりますが、この洗うことの意味を少し整理して理解すると、スキンケアの基本としてなぜ重要となってくるかがわかると思います。

皮膚の表面には生活する中でさまざまな外的因子(アレルゲン、細菌、真菌、高温多湿、静電気など)が付着します。外的因子は言わば体からすると外敵で、皮膚はその外敵を体内に入れないように守ってくれるナイト的な存在です。

また、皮膚にはターンオーバー(新しい皮膚が生まれてフケになるまでのサイクル)によって生まれるフケ、皮脂や汗の分泌機能などがあります。特に皮脂は皮膚バリアの形成に大きく関与してくるもので、健康に保つためにはなくてはならないものと考えられています。

外的因子は健康な子にとって何も問題はありません。しかし、基礎疾患や免疫の低下などがある子の場合は、皮膚バリアの形成が不完全になっており、外的因子が過剰に積み重なることで炎症反応が誘発され、皮膚トラブルを招くことに繋がってしまいます。

洗浄はこの外的因子を物理的に取り除いてあげることを目的としています。

方法は以下になります。

・シャンプーをして皮膚に付着する外的因子を洗い流す

・クレンジング剤を使用し取りにくい汚れや余分な皮脂を落とす

○保湿

前々回の「犬の皮膚の構造」や今回の洗浄にも登場している「皮膚バリア」という単語ですが、これはスキンケアについてお話していく上で一つの鍵となる用語となります。

バリア機能とは皮膚の一番外側にある角質層と皮脂膜と呼ばれるものからなる、皮膚の防御システムを指しています。

角質層とは

細胞間脂質(セラミドやコレステロール、脂肪酸など)と角化細胞で構成され、カメの甲羅のように盾として機能してくれています。細胞間脂質が不足してしまうと皮膚が乾燥し、角化細胞が剥がれ落ちてしまうことで外的因子の侵入を許し、様々な皮膚トラブルを発生させてしまいます。

皮脂膜とは

角質層の表面を覆っている膜のことで、皮膚表面の保護や皮膚の水分保持をしていたり、皮膚表面のpHに関与しています。これによって、角質層を保護したり、細菌の増殖を抑える働きをしてくれています。

ここまで長々と書き連ねましたが、皮膚バリアについて簡単に一言で表すと「水分を外に出さないようにし、異物を体内に入れさせない機能」のことです。

保湿はこのバリア機能の維持・向上を目的としています。

有効な保湿成分が入った保湿剤を使用することが保湿の第一歩ですが、ただ保湿剤を使えばいいというわけではなく、皮膚状況によって種類や使用頻度を変更することが大切となります。

〇今回のまとめ

スキンケアで大事な事を、以下にまとめてみます。

・皮膚の状態を見て使用するシャンプーの種類を選択する

・皮膚の状態を見て保湿剤の種類を選択する

・皮膚の経過を見てスキンケアの頻度を設定する

動物のスキンケアも日々進化をしていて、新しい良い製品もいろいろと世に出てきています。大切なことは、上記のポイントを、その子その子の皮膚の状態に合わせてオーダーメイドな治療をしてあげることと思います。

皮膚でお困りの飼い主様がおられましたら、獣医師の助言のもと、私たち看護師がお力になれると思いますのでお気軽にご相談ください。

看護師:柴田

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